拉致問題前進か トランプ政権の国務長官にルビオ上院議員が浮上 北に厳しい政治姿勢「大きな援軍に」 尖閣諸島は「日本領」とも
ドナルド・トランプ次期米政権の人事が注目されるなか、外交を担当する国務長官に共和党のマルコ・ルビオ上院議員(53、フロリダ州選出)を起用する案が浮上した。中国やロシア、北朝鮮に厳しい政治姿勢が信条のルビオ氏は、拉致問題の早期解決や沖縄県・尖閣諸島の防衛に関して「日本の大きな援軍になる」と識者は指摘する。 【画像】尖閣諸島を日本領と記した海外の地図 ルビオ氏の国務長官起用案は米紙ニューヨーク・タイムズやロイター通信が報じた。 ルビオ氏は1971年生まれで、現在3期目の上院議員。キューバの移民の子として生まれ、父はバーテンダーで、母はホテルメイドという家庭に育ち、「アメリカン・ドリーム」を体現した人物とされる。 共産主義に祖国キューバが「破壊される」のを目の当たりにした祖父の話が、政治家としてのキャリアにも影響したという。 日本との関係でも存在感を放つ。2015年には沖縄県・尖閣諸島を「米国の同盟国である日本の領土だ」と明言した。16年には米国人青年が中国で北朝鮮の工作員に拉致された疑惑の公式の調査開始を求める決議案の共同提案者に名を連ね、拉致問題で日本と共闘する立場を鮮明にしている。 ルビオ氏の政策スタッフと直接やり取りした経験のある日本保守党の島田洋一衆院議員は「ルビオ氏は北朝鮮の拉致問題に強い関心を示してきた。国務長官となれば、拉致問題で北朝鮮に宥和的な姿勢の国務省を牽制(けんせい)する意味でも大きい。尖閣諸島をめぐっても、中国に配慮する米政界関係者が多いなかで、『尖閣を日本領と認めるべきだ』という立場のルビオ氏は日本にとって大きな援軍になる」と話す。 ただ、トランプ氏は人事で「忠誠心」を重視しているとされる。ルビオ氏は16年の大統領予備選では候補者としてトランプ氏と争ったこともあり、政治姿勢もトランプ氏と異なる部分もあるが、起用された場合うまくいくのか。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏は「ルビオ氏は対ロシアでは厳しい姿勢をとるなど、トランプ氏と政策が完全に合致するわけではないが、直近ではトランプ氏との歩調を合わせている。むしろルビオ氏を起用すれば、ロシアに『最初から容易に妥協しない』というメッセージになるかもしれない。トランプ氏は圧勝したことで強気の人事が可能になっており、党内の反トランプ派も忠誠を誓わざるを得ない状態にあるのではないか。政策もトランプ氏の公約通りに進む可能性がある」との見方を示した。