闇バイト強盗、実行役は「使い捨て」…報酬得たものほとんどおらず
首都圏などで相次ぐ「闇バイト」による強盗事件では、実行役らの大半が「X(旧ツイッター)」などSNSでの募集に応じて、事件に加担している。民間の調査では、高校生の5割近くはSNSで仕事を探したことがあるという。逮捕された若者らの多くは報酬を得ていないが、その代償は大きい。警察は「怪しい求人には絶対応募してはいけない」と呼びかけている。(尾藤泰平、横浜支局 中山知香)
警察「脅されても通報を」
「Xで探し、応募」
「短期間で稼げるアルバイトをXで探し、『ホワイト案件』の投稿を見つけて応募した」。横浜市青葉区の強盗殺人事件で逮捕された宝田真月(まづき)容疑者(22)は神奈川県警に対し、闇バイトと知らずに初めて応募したと説明。「個人情報を教え、断れなかった」と語った。
一連の事件は8月以降、6都道県で計23件に達した。このうち19の事件で逮捕された実行役や現金回収役らは約50人に上り、約8割は10~20歳代だった。
捜査関係者によると、実行役らは大半が「X」や「インスタグラム」などのSNSに掲載された求人情報を見て応募していた。
指示役側は合法な仕事を装い、「荷物を運ぶ仕事」「書類運搬」「送迎」などと投稿。違法な仕事と警戒されないよう、「ホワイトバイト」「闇バイト×」「リスクはない」と強調する書き込みもあった。
特殊詐欺の被害金を回収する「受け子」や引き出し役の「出し子」から、他人名義のスマートフォンや銀行口座の売買、違法薬物が入った荷物を転送する「荷受け代行」など多様化した。
凶悪化したのは、22~23年に相次いだ指示役「ルフィ」らによる強盗事件からだ。東京都狛江市の住宅で高齢女性が暴行されて死亡し、今回の一連の事件でも、強盗殺人や現金引き出し目的の連れ去り事件が起きている。
それぞれの法定刑は詐欺罪が10年以下の懲役、強盗罪は懲役5年以上、強盗殺人罪は死刑か無期懲役で有期刑はなく、極めて重い。