ロッテからドラフト1位の指名を受けた青学大・西川史礁は、チームメートから胴上げされる（撮影・たえ見朱実）

　ロッテがドラフト1位で交渉権を獲得した瞬間、青学大・西川史礁外野手（4年＝龍谷大平安）はそれまでの緊張した表情を解き、笑顔を浮かべた。「野球を始めた頃からプロ野球選手になるという思いでやってきた。その夢がかなって素直にうれしいです」と話すと笑顔が弾けた。 【写真】青学大・西川史と佐々木 　豪快なフルスイングで初球から積極的に振りにいく。今年3月に選出された侍ジャパンの欧州代表戦では攻守に躍動。高い身体能力の高さでプロと引けを取らないプレーで魅了した。 　西川の打撃を支える体の強さは育った環境にある。和歌山県日高川町に生まれ、幼少期から4つ上の兄・藍畝（らんせ）さん（26）とともに山や海を駆け回り育った。小1で兄とともに野球を始めると、父凌滋さんが家の前にブルペンほどの広さに土を入れた「グラウンド」を作ってくれた。 　毎日、父、兄の3人で練習。早朝に放課後と、野球に明け暮れた。5キロほど離れた日高川町立丹生中へ入学すると、アップダウンの激しい山道を、毎日自転車をこいで通った。 　プロでの目標を高く掲げた。「本塁打王、首位打者を一番。そういうタイトルはとりたい」。“史礁”の名前に込められた「先立ちできる人になる」の思い通り、先頭に立ってチームを優勝へ導く選手になる。【保坂淑子】