エリート家系も「マイペース」 新女王の成長記録/竹田麗央インタビュー<後編>
現在は所属先のヤマエホールディングス(福岡市博多区)の子会社が経営する熊本市北区の津浦ゴルフアリーナを拠点にしている。ここには竹田の要望から10yd刻みに記された看板が打席から縦一列に置いてある。全席に弾道測定器「トラックマン」が設置されており、スマートフォンアプリでデータを残しておくことができる。 「一番は試合でプレーするのが楽しいけど、よく球を曲げるのを遊び感覚でやっていて、その練習をしたことが試合でできるようになったらすごくやりがいも出てきた。ずっと楽しいのは変わらない。友達と遊びたいなと思う時もあったけど、でもやっぱり練習を始めたらゴルフが楽しいなって。ゴルフをやめたいと思ったことはないです」
■おばにも「プレッシャーは感じない」
プロゴルファーの母、1993年と94年に賞金女王に輝いたおば。竹田はアマチュア時代から試合に出るだけで話題になり、注目され続けてきた。その環境にも「どうしても、おばの話は出る。しょうがないことだと思ってそれは割り切っていたし、そんなにプレッシャーも感じない性格なので気にならなかった」と動じなかった。「(おばとは)お正月に一回会うかどうかだけど、トーナメント会場でたまに会って話すこともあるし、客観的な視点として『こうした方がいいんじゃない?』と連絡をもらうことのほうが多い」と良きアドバイザーでいてくれる。
技術面で悩んだ時は母に助言をもらい、新しいクラブを試すときには父に頼る。「(父は)シャフトやヘッドの特性に詳しいので、クラブを替えるときやオフシーズンによく相談したりします。小さい頃から任せていたので、クラブ選びはすごく信頼しています」 。迷うことがあっても、実家に帰れば公私で原点に立ち返ることができる。 日本ツアーの年間女王という肩書きを手に入れ、来季は米ツアーでプレーする。新天地でも貫くのは“マイペース”。「まだまだおばに比べたら実績は追いつけていないと思うので、まずは早く追いつけるように。これから活躍できるように頑張りたい。強いだけじゃなくて、謙虚さを持っていたり、人間性も素晴らしい選手になりたい」と未来像を描いた。(取材・構成/石井操)