65歳以上の人は要注意? 年金は5年で時効に! 受給の手続きは済んでいますか?
老齢基礎年金は、65歳から受給権が発生します。しかし、65歳になれば自動的に受給が始まるわけではありません。受け取りに必要な手続きをしなければ年金は支給されず、5年で受給権は消滅してしまいます。年金をスムーズに受け取るためにも、事前に必要な手続きや自分がどのくらい年金を受け取れるか把握しておくことが大切です。 本記事では、年金の時効とは何か、時効を防ぐためにどのような手続きをすればよいのかなどを解説します。
年金の時効とは
年金を受け取る権利は、「国民年金法第102条第1項」と「厚生年金保険法第92条第1項」により、権利が発生してから5年を経過した場合、時効によって消滅すると定められています。年金というと老齢基礎年金や老齢厚生年金のイメージがありますが、障害年金や遺族年金も受給の手続きをしなければ5年で時効です。なお、死亡一時金や脱退一時金の時効は2年です。 しかし、問答無用で年金の受給権が消滅するわけではありません。平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金の場合、「年金時効特例法」の制定により5年を経過しても自動的に消滅しなくなりました。その代わり、国が個別に時効を援用することによって時効消滅します。 したがって、やむを得ない理由で時効完成前に年金の受給手続きができなかった場合は、申し立てを行いましょう。理由が正当なものと認められれば、時効が過ぎても年金が受給できます。申立書は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。 なお、平成19年7月6日までに受給権が発生した年金については取り扱いが異なるので、詳しくは、日本年金機構のホームページを確認してください。
年金を正しく受け取るポイントや注意点
老齢年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の加入期間が併せて10年以上あれば受給できます。その一方で、現在老齢年金は繰下げ受給が可能なので、65歳になって受給の手続きをしなければ、年金は受給できません。遺族年金や障害年金なども受給には受給者による手続きが必要です。 本項では、年金を正しく受け取るためのポイントや注意点を紹介します。 ■年金請求書がきたらすみずみまで確認する 年金請求書とは、日本年金機構が、受給開始年齢に到達する3ヶ月前から、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所および年金加入記録を印字して送付する書類です。年金請求書が届いたら、すみずみまで確認しましょう。年金の受給手続きを行わなかった理由として、「自分には受給資格がないと思っていた」という方も決して珍しくありません。 また、年金の繰下げ受給をすでに決めている方は、年金請求書をよく確認していない場合も多くあります。しかし、事務手続きのミスなどが発生している恐れもあるので、必ず確認しましょう。 65歳の時点でいくら年金が受給でき、繰下げ受給をすればいくら増額するか、計算してみるのもおすすめです。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」では、将来受給可能な年金額の試算ができます。 ■年金の繰下げ待機中に亡くなった場合は? 老齢基礎年金は、最高75歳までの繰下げ受給が可能です。現在は65歳以上で再雇用される方も多くなったことにともない、限界まで繰下げてから受給する方も多くなりました。しかし、その一方で繰下げ待機中に亡くなってしまうケースもあります。 このような場合、遺族から未支給年金の支払い請求があれば、65歳時点の過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われます。加算分はありません。こちらも時効があり、請求できるのは5年間だけです。例えば、75歳まで繰下げ受給を希望した方が74歳で亡くなった場合、65~68歳までの年金は時効によって消滅します。 繰下げ受給は、受給できる年金が加算される一方、繰下げ待機中に亡くなるリスクもあるので、よく考えて受給時期を決定してください。 ■疑問がある場合はどうすればよい? 年金請求書を確認して、何か疑問や不明点があれば最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターに電話か窓口相談に行きましょう。最寄りの場所は、日本年金機構のホームページから確認できます。