積荷は大戦時の巨大飛行艇!? ウェスタン・スター「4900SF」が往年の巨人機を博物館へ運ぶ!
第二次世界大戦中に製造された巨大飛行艇「マーティン・マーズ」が2024年8月に最後のフライトを実施。そして終の棲家となるカナダの航空博物館へ向かった。同機を陸上輸送したのは、北米の重量物輸送で定番となっているウェスタン・スターの「4900SF」トラックだった。 【画像ギャラリー】「マーティン・マーズ」飛行艇と「4900SF」トラックを画像でチェック!(12枚) 文/トラックマガジン「フルロード」編集部 写真/Western Star Trucks・The BC Aviation Museum
往年の「巨人機」輸送にウェスタン・スターのトラックが活躍
カナダのブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアの航空博物館へ、歴史的価値のある巨大飛行艇を輸送するという名誉ある仕事を、ウェスタン・スターのトラックが達成した。 マーティン社(現在のロッキード・マーティンの合併前の企業の一つ)の「JRM マーズ」飛行艇はボーイング「747」とほぼ同じ大きさで、当時としては世界最大級の航空機だった。 米軍は第二次世界大戦の開戦前に、本土沿岸やハワイ周辺を防衛するためのパトロール・ボマー(哨戒爆撃機)として水上で離発着が可能で長大な航続距離を持つ航空機を計画し、試作発注したものの、その巨大さゆえに開発が難航し、1942年になってようやく「マーティン・マーズ」試作機が完成した。 そのころにはパトロール・ボマーというコンセプト自体が時代遅れになっており、「巨人機」は不要とされた。マーティン・マーズは輸送用に転用され、1945年に米国海軍が20機を発注するが、同年、戦争が終結し、実際に製造されたのは合計7機だった。 軍用機としては短命に終わったマーティン・マーズだが、山火事の鎮火用に水を投下する「ウォーター・ボマー」に改造され、長く森林消火機として活躍した。 同機を所有するコールソン・アビエーションは退役したマーティン・マーズの終の棲家となる博物館への輸送を、同州ナナイモ市のニッケル・ブラザーズに依頼した。 陸上輸送に使用するトラックはウェスタン・スターの「4900SF」で、全長120フィート(36.6メートル)の飛行艇をビクトリア空港からブリティッシュ・コロンビア(BC)航空博物館に運搬し、半世紀に渡り山火事と戦った航空消防のレガシーを常設展示する。