遠藤憲一×あのちゃんのバディに泣かされた…思わず惚れ惚れしたもう1つのコンビとは? ドラマ『民王R』第4話考察レビュー
ウソをつかないあのちゃんがドラマにもたらす効果
今回、冴島を好演しているあの。このドラマのメインキャラ、しかも秘書という役柄にあのがキャスティングされたと知った時は「制作側、冒険するなあ(驚)」と思ったが、結局今では、彼女以外の人が冴島を演じているのが想像できないくらいである。 バラエティでは、芸能界の大先輩方にも歯に衣着せぬ発言をし、ダルそうな鼻声で話すのが印象的。よくも悪くも、ウソをつかないあの自身のキャラクターが、毒舌だが空気を読みつつ、大人の政治の世界を泳いでいく冴島の生真面目な個性と混在し、不思議な未来感を発している。 「来るべき、忖度なしの時代」のキャラ化とでもいおうか。 「ああ、ニュートラルな感覚を持った若者が、古い価値観やしきたりに捉われた日本の政治を変えていく、そんな時代になっていくのかな」 と思って観ることができるのだ。 あの演じる冴島が、長い人生、やりたいこともできず、言いたいことも言わず我慢してきたトメさんが解放されるのを見て、つられて夢を語るシーンはとても印象的だ。 「選べるってステキなことよ」「夢を持っているだけですごいことよ」 トメさんが語り掛けるやさしい言葉に瞳を光らせるシーンは、心に響く。
あの夫婦の終わり方はちょっと切ない…。
『民王R』の入れ替わりは毎回、言いたいことも言えない世の中、本音を大切な人に伝える突破口として描かれる。現代も昔も、「自由」のなんと難しいことか。 自分の姿では言えないことを、総理の体を借りて、やっと言うドラマに共感するなんて、我ながら、なんと本音を抑えて生きているのだろう、と思う。 第4話のラスト、トメさんがまだ泰山の姿のままなのに、夫の進(伊武雅刀)がそれを見抜き話しかけたシーンは感動的だったが、1割ほど寂しさが残る。死ぬ間際ではなく、本当は甘いものが好きだとか気づいてほしいし、もっと早く「ありがとう」って言ってほしかったなあ、と複雑な気持ちで観てしまった。 演じる丘みつ子と伊武雅刀のいぶし銀の演技に、本当にいろいろと考えさせられた。