53歳で「年収700万円」の会社員。最近「早期退職」のニュースを見かけますが、退職金がいくらなら不安なく辞められるでしょうか?「退職金が多いなら早く辞めたほうが得」と思ってしまいます
できるのなら早期退職したいと思う会社員は多いかもしれません。しかし、実際に勤務先で早期退職の募集がされたら、迷わず手を挙げられる人はどれだけいるでしょうか。 本記事では、53歳、年収700万円、貯蓄が2000万円ある会社員が、実際に早期退職できるのかをシミュレーションします。これまで貯蓄をしっかりしており、割増退職金も支給される家庭では、早期退職は可能なのでしょうか。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
早期退職とは?
早期退職とは、「早期退職制度」または「選択定年制度」によって、会社が定める定年退職年齢よりも前に仕事を辞めることです。2つは早期に退職する点で似ていますが、早期退職制度では「◯歳以上、勤続年数◯年以上」などの条件に当てはまる社員を対象に募集します。 一方、選択定年制度では、定年のタイミングを通常より早く、もしくは遅く自身で設定し、原則定年まで勤務します。 このうち本記事では、「早期退職制度」について解説します。早期退職制度では、会社が通常の退職金に加えて割増退職金や特別退職金を用意し、退職者を募ります。コストカットのための人員削減が目的のケースもありますが、組織の若返りを図り刷新する目的で実施されるケースもあります。 また、早期退職する社員にとっては、割増退職金を得られ、セカンドキャリアについて考えるきっかけとなるなどのメリットがあります。
早期退職によって得られる収入は?
では、早期退職によってどれくらいの退職金が受け取れるのでしょうか。退職金は今後の生活費をまかなう、重要な資金です。 2023年度の厚生労働省の調査では、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者のうち、大学・大学院卒の社員の場合、早期退職により優遇された退職金の平均給付額は2266万円です。退職時の所定内賃金は平均56万7000円のため、月収に換算すると39.9ヶ月分の給付となっています。 また、一般的に、早期退職制度を利用して退職した場合は自己都合退職となります。そのため給付制限期間があり、失業給付(基本手当)を受給できるまでは2~3ヶ月かかります。ただし、事業縮小などの理由により、会社から臨時的に募集された早期退職に応募して退職した場合の退職理由は、会社都合退職です。 失業給付を受給できる期間は、雇用保険の被保険者であった期間と年齢によって図表1のように異なります。 図表1