【支援の“格差”】ウクライナへの支援が集まる一方で多くの難民は過酷な環境に… 人道支援の実態とは?
ロシアの侵攻によりウクライナ避難民には各国から支援が集まっている。一方で、同じように紛争から逃れてきたのにも関わらず、数多くの人たちが中々支援が受けられないでいる。大阪大学大学院国際公共政策研究科教授・GNV編集長のヴァージル・ホーキンス教授に人道支援の課題を聞いた。 <<以下、ホーキンス教授インタビュー全文>> ――紛争は世界各地で起きているのに、ウクライナとそれ以外の地域で支援に大きな差があるのはなぜか。 人道支援は、人道と呼ばれてはいるものの、人命を中心に決められるものでもない。国が支援を出すということ自体が、善意でやってるというのではなく、やはり戦略的、政治的なもの、もしくは、自国のあるいは自分の政権のイメージアップを図るためのものである場合が多い。 ウクライナはわりとわかりやすい。ロシア=ウクライナ戦争がヨーロッパで起きてるわけで。世界において影響力の大きい西側諸国たちの関心が非常に強い。さらに、冷戦の時から敵視してきたロシアという強敵があるので、“とにかくロシアを止めないといけない”というような政治的な利益は、西ヨーロッパにもアメリカにもある。つまり、これらの国の利益に非常に大きく一致している。日本ももちろんその中に入る。 一方、“世界最悪の人道危機”といわれるイエメンは、実は政治的利益が絡んでいるが、逆のパターン、つまり注目したくないパターンだ。サウジアラビアがイエメンに攻撃を仕掛け、イエメン全国を囲んで、人道危機を引き起こしているが、アメリカも日本もサウジアラビアを支援する側に立っている。つまり、侵攻する側、人道危機を引き起こしている側、攻撃を仕掛けている側を支援しているので、目をつぶった方が得ということだ。 アフリカになると、逆にその戦略的な政治的な関心が低くなってしまう。政権をどうしても守らなくてはいけないなどのような側面があまりないので、戦略的な価値が低く見られる。