FOMCに回答迫る、FRBバランスシートに関する疑問が山積
(ブルームバーグ): 米連邦公開市場委員会(FOMC)は今週開催の定例会合で、金融当局のバランスシートを巡って掘り下げた議論を開始する。金融システムから余剰資金を引き揚げるペースの減速に関して、その開始時期や方法が話し合われる見通しだ。
議論の中心となるのは、現行7兆5000億ドル(約1130兆円)規模の資産ポートフォリオに関して、どの程度の縮小であれば2019年に起きたような市場の混乱を招かずに済むかという点だ。
レポ金利の急上昇、2019年9月の混乱を想起-原因異なるもリスク懸念
当局は2022年以降、毎月最大600億ドル相当の米国債と同350億ドルのエージェンシー債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)を進めている。量的引き締め(QT)として知られるバランスシート圧縮は、永遠にこのペースで維持することはできない。
このQTを巡り、当局にランオフのペースを減速させる根拠や、発表のタイミング、縮小の継続期間、全て完了した際のバランスシートの状況など、多くの疑問が浮上している。
なぜ今この問題を議論するのか
政策当局者らは、前回のバランスシート圧縮時に起きたような市場の混乱を今回は回避しなければならないと決意している。
当局は2018年、毎月最大300億ドル相当の米国債と同200億ドルのエージェンシー債のランオフを進めていたが、翌年にランオフのペース減速開始を決定した。
だがペースを減速した時点で、既に市場は明らかに圧迫されていた。
当時、政府の借り入れ増加と法人税の支払いにより銀行の準備預金が不足。銀行が日々の資金調達に広く頼っていた翌日物レポ金利は5倍に跳ね上がり、フェデラルファンド(FF)金利の実効レートは誘導目標レンジの上限を突破した。これを受け、当局は市場安定化のため介入を余儀なくされた。
NY連銀、買いオペで資金供給-FF金利実効レートは誘導目標突破
市場の指標は現在、銀行の準備預金が依然潤沢であることを示唆しているが、当局がQTのペースについて検討を始める時期に来ていると示唆する兆候もいくつか出ている。