FOMCに回答迫る、FRBバランスシートに関する疑問が山積
当局者が注視しているのは何か
ダラス連銀のローガン総裁はバランスシート圧縮のペース減速を計画し始める時期に来ているとの考えを示し、ランオフを調整する目安にすべき指標について取り上げた。
そうした指標には、翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーの残高が含まれる。金融システムにおける過剰流動性のバロメーターであるRRPの残高は、昨年6月以降におよそ1兆7000億ドル減少。現在は4400億ドル程度となっている。
当局者らはまた、市場にストレスの兆候が表れていないかにも注視している。現時点では多くはないが、昨年11月末から12月にかけてはボラティリティーが高まり、翌日物レポ取引の参照レートである担保付翌日物調達金利(SOFR)は過去最高に上昇した。
テーパリングはいつ始まるのか
最も重大な問題に挙げられるのがこれだ。ローガン総裁は今月初め、翌日物リバースレポファシリティーから資金が引き出されるのに伴い、当局はバランスシート縮小のペースを緩め始めることが適切になる公算が大きいとの考えを示した。「RRPファシリティーの残高が低水準に近づいたら、資産ランオフのペースを緩めるのが適切になるというのが私の考えだ」と総裁は発言。ただそれが具体的にいつになるのか、またその考えがFOMCの他の当局者の間でも共有されているかどうかは不明だ。
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そのためにウォール街のストラテジストにとって、QTのテーパリング(段階的縮小)開始時期の見極めが困難になっている。大半の予想は5月から9月までに分散し、見解が割れていることが分かる。QTのテーパリングに関する決定は、利下げ開始を巡る決定とは完全に切り離されている。
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テーパリング遅延につながる多数の要因のうち、とりわけ注目されるのは納税申告のシーズンと財務省が金融当局に保有する政府預金口座(TGA)の残高増加だ。これは金融当局のバランスシートにおいて非常に大きな負債項目となっている。税収が増えれば、財務省による短期証券の発行が減り、RRPファシリティーの残高増加につながる可能性がある。