信州で愛され60年「テンヨのビミサン」 山梨のだしつゆ…でも4割以上は長野県で消費 根付いた背景にはやはり「食文化」
今の社名に使われている「テンヨ」は、当時、販売していたしょうゆの商品名。 実は「甲斐の武田」らしいネーミングです。
「川中島の合戦」などで熾烈に争っていた武田信玄と上杉謙信。 そうした中、武田の領地・甲斐は塩不足に苦しんでいました。それを知った上杉謙信は敵である武田方に塩を送ったとされています。 相手の弱みにつけ込まない考えや行動を表わすことわざ・「敵に塩を送る」の由来とされるエピソードです。
テンヨ武田・武田信彦社長: 「テンヨというのは、『天』が『与える』という字を書く。(甲斐では)まさか上杉謙信からもらった塩だとは言えないので、『天与の塩』といった。山梨県にとっては塩はすごく大事なもので、その塩で造っているしょうゆは『天与』という名前がいいということで『テンヨ』となった」
■高度成長期 便利な「ビミサン」が人気に
さて、今回の主役・だしつゆの「ビミサン」は「美味しさ」を「讃える」という意味を込めて名付けられました。 発売は昭和39(1964)年。人々の暮らしが大きく変わる時期でした。 テンヨ武田・武田信彦社長: 「高度成長の頃、昭和39年は東京五輪もあって、日本経済がすごく大きくなり始めた年。簡単に料理がしたいというニーズがすごく大きくなった時代、時期だった」 ビミサンは簡単にうどんやそばのつゆ、浅漬け、煮物などが作れることから、次第に支持を広げていきました。
■「お手軽料理」で支持拡大
ちなみに現在のお薦めの「お手軽料理」は―。 テンヨ武田・渡辺嘉月さん: 「ビミサンを使ったから揚げを作っていきたいと思います。濃縮5倍なので、漬ける時間が短くてしっかり味が付くのがポイント」 「お肉500gに対して、ビミサン45ミリリットル(大さじ3)入れます」
揚げる前にビミサンを入れ1分ほどもみこみます。 それ以外は通常のから揚げと同じですが―。 (記者リポート) 「だしの効いたつゆが肉にしみこんでいて、とてもおいしいです。これだけでご飯のおかずになります」