【高校サッカー】東北学院GK松本脩礼「親子として簡単に負けられない」俊一監督と“父子鷹”16強
<全国高校サッカー選手権:東北学院1-0滝川第二>◇31日◇2回戦◇ニッパツ 37年ぶり5度目出場の東北学院(宮城)が、優勝経験のある滝川第二(兵庫)を1-0で破って、3回戦に進出した。 0-0の後半31分、MF杉山和勢(かずなり、3年)の左FKを、ファーサイドに走り込んだFW岡元龍太(3年)が頭で合わせ、ネットを揺らした。守備陣は13本のシュートを喫しながらも、橋本俊一監督(52)の長男でGK橋本脩礼(しゅうれ、3年)を中心に1点を守り切った。 橋本脩は184センチの長身。父も育った「S・KSC」でサッカーを始め、「お父さんもキーパーなんだからやってみたら」とコーチに勧められ、GKの道を歩み始めた。先制後の28分には跳躍力と長いリーチを生かしても生かしてハイボールをキャッチすると、観衆からどよめきが。同35分にも相手の決定機を両手で防ぐなど、好セーブ連発で完封勝利に貢献した。 「大舞台でクリーンシートの試合が出来てうれしいです」と笑顔を見せた。だが、展開的には苦しい試合だった。「防戦一方でボコボコにやられている時でもDFラインと守り切る(東北)学院強みが出た試合。中学のころからそうやって勝ってきていますし」。主将のDF阿部幹大主将(3年)ら全国中学総体にも出場した東北学院中時代からのチームメートが全16人。高校からの仲間も含めて構築してきた逆境を乗り切る試合こそ真骨頂だ。 松本脩はさらに続けた。「サンドバッグ状態で対応するのが僕の強み。止めて相手が悔しそうにする顔が大好き」とドヤ顔。父からの「MVPは脩礼。頼もしかった」の評価を報道陣から伝え聞くと、「いやあ、その通りだと思います。3年生最後の大会ですし、親子として簡単には負けられない」と胸を張った。 父子鷹として戦うことに誇りを持っている一方、「橋本っていうと宮城では僕よりお父さんのほうが『橋本』で通っているので、脩礼っていうの(報道で)取り上げてほしいですね。『しゅうれい』って間違えられるのも嫌。『しゅうれ』だと。(父の存在は)乗り越えていかないといけない、そこを目標に成長できる。まだまだ上を目指していきたいです。快感も出てきて、めっちゃ楽しいです」と、まだまだ2人の時間を味わうつもりだ。 父も「(試合後は)サンキューって言いました。いつも以上に頑張っていたんじゃないですかね」と笑顔が止まらない。練習や試合を終えた帰宅後は「家ではたまにしかサッカーの話はしないようにしています。あまりいろいろ言い過ぎて、サッカーを嫌いになったら嫌なので、妻とずっとそうしてきた」と息子がやりやすい環境をつくる親心も漏らした。監督として就任30年目でようやくつかんだ選手権。橋本家としても集大成な快進撃は2025年に続く。【鎌田直秀】