【韓国ドラマ】絶対泣く!“故人の最後の引越しを手伝う”人々を描いた人生賛歌ドラマ
タイトル“ムーブ・トゥ・ヘブン”に込められた意味に涙
本作のタイトルは『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』。実は、劇中の遺品整理会社の社名が「MOVE TO HEAVEN」なんです。 遺品整理を業者に頼むということが何を意味するのかというと、片付けてくれるような身内がいないか、家族と疎遠になっている孤独死が原因であるケースがほとんど。毎話、誰かが亡くなるのですが(みんな、善良ないち市民なのに!)、「MOVE TO HEAVEN」の人々は彼らを軽んじることはありません。故人が亡くなる直前まで住んでいた場所を清掃しながら、ていねいに遺品を整理します。その姿は清掃業などではなく、慈愛に満ちた引越し業者。故人が天国へ行けるよう、最後の引越しのお手伝いをするんだというグル親子の姿勢が胸に刺さります。 作業の始まりと終わりには故人への祈りを捧げ、作業時にはできる限り、マスクや手袋は可能な限り使わない彼ら。(衛生的にどうなのかということはひとまず置いておいて)良い意味で淡々と丁寧に遺品を回収していく姿は、まさに「故人の最後の引っ越し」のようで、静謐な時間が流れるのでした。
それらをより感動的にしているのは、アスペルガー症候群のグルの視点で描かれる作業中のシーン。ドローンで撮影したかのように俯瞰で街の景色を映したり、故人の遺品や、そこから浮かび上がる生前の故人の記憶に降り注ぐ光の描写が、まるで“天国への階段”を想起させるほどに、まばゆく輝いているのでした。さらに、グルの携帯音楽プレーヤーから流れるクラシック音楽も、故人に捧げられた鎮魂歌のようで。 「どんな人生であっても、故人は尊重されるべきである」 「故人の想いは、伝えるべき人に伝えられる」 そんな強い思いが伝わってきました。
相棒たちが醸すケミストリーに泣き笑い
基本的にマジメで感動的な物語ですが、2話以降、笑いの要素が増えます! 1話は、世界一やさしい父ジョンウと、そんな故人の想いを大切にしていた父の姿を見ていたグルが驚異的な記憶力で遺品から想いを読み解いて遺族に伝えていくという感じで話が進むのですが、2話以降のグルの相棒は、ジョンウの弟サングにバトンタッチ。このサングがかなりのクセ者。ムショ上がりで、兄の遺産狙いでグルと暮らしはじめたチンピラボクサーなんですよ(言い方!)。 食べたら食べっぱなし。飲んだら飲みっぱなしで、不規則極まりない日常を送る肉体派のサング(ボクサーのはしくれなので、いい体してます)。一方、家の中のモノがちょっと動いたり、変わっているだけで「アンデヨ!(ダメです!)」とパニックに陥るグル。アスペルガー症候群特有の強いこだわりを持つ彼は、規則正しく清潔好きで、絶対に自分のペースを変えられないんですね。 さらに、闇ボクサーのサングは、しょっちゅうケガをこさえて帰ってくるのですが、グルはケガを見逃しません。過去の顧客や父親のことを思い出して「手当しないと死んじゃう!」と不安になって、治療をしようとサングをかまい倒すんです(涙)。