替えた直後はよく入る! パターには「ハネムーン期間」があるのをご存知ですか?【長谷部祐とギア問答!#16】
「長谷部祐とギア問答!」は、国内外大手3メーカーで、誰もが知る有名クラブの企画開発を20年超やってきたスペシャリストの長谷部祐氏に、クラブに関する疑問を投げかけ、今何が起こっているのか? その真相を根掘り葉掘り聞き出すものです。クラブ開発の裏側では、こんなことが考えられていたんですね......。
アマチュアのパター選び。最重要ポイントは「距離感」
GD パターに関しては、ブレードか? マレットか? の論争が長いことありましたが、最近はマレットの人気が優勢のように感じます。 長谷部 その打ち方はマレットに合わないでしょうという人までもマレットタイプを使っていますよね(笑)。アマチュアだけでなく、女子プロにもそういう人がいて、どういう基準でマレットを選んでいるのかな? ってすごく気になっていますね。 GD みんなマレットだから、自分もマレットにしよう、というのが一番の理由じゃないですか。パターの機能というよりも、誰々が使っているから入るんだ、 きっといいんだ。そんな憶測まじりの基準で選んでいる人が多いような気がします。 長谷部 昔、青木功さんがキャッシュイン(T字)、ジャンボさんがL字、丸山茂樹プロがオデッセイの『ナンバー5』のマレット。そういった影響力のあるプロが使うパターが人気になるのもわかります。実際のところラウンドで一番多く使うのがパターにもかかわらず、自分に合っているかどうかが二の次になっているような気がします。 自分に合っているものを選ばない限り、スコアは縮まりません。距離感が合わなかったり、ショートパットのミスを繰り返すようだったら、自分が少なくともブレードタイプが合っているのか? マレットが合っているのか? それともネオマレットと呼ばれている大型のマレットが合っているのか? この3つのどれに自分が合っているのかを見つけない限り、さまよい続けるんじゃないでしょうか。 GD ネオマレットが出てきたとき、フェースバランスか、フェースバランスじゃないか、フェースバランスは「スクエア・トゥ・スクエア」のストロークと相性がよく、フェースバランスでもないものは「イン・トゥ・イン」のストロークがいい。そんな考え方があったと思います。 長谷部 自分自身ですぐにチェックできるのが、アドレス時にひじを曲げるか、曲げないか。ここが大きなポイントになると思います。 ブレードタイプ(ピン型)やL字に合うのが、アイアンショットに近いイメージ。両腕の三角形を崩さずショルダーで打つ人、もしくは手首を使って打つことができる人が合っていると思います。 大型のマレットに関しては、ヘッドをできるだけ平行に動かすことが求められるので、手首もしくはひじが柔らかく使えて、そこを曲げながらヘッドを平行に動かすタイプに合います。 ここをちゃんと理解していただければ、間違ったパターを選ばなくなるでしょう。 GD パッティングスタイルとパター形状には相性があるとは思いますが、自分に合っている、合っていないっていうのは、打ってみなければわからないと思うんですけど。 長谷部 パター売り場で球を転がすことは誰でもやることですが、そのときの転がし方には真剣さが足りなかったり、目標の設定など、いろんな意味で雑になっていると思うんです。最近はパター専門のフィッティングシステムがあったりするので、ストロークの癖とか、芯に当たる確率などから、どのタイプが合っているのかを絞ったほうがいいような気がします。 GD パターには色々なヘッド形状があります。重心距離が長いもの、極端に短いもの、重心が深いもの、浅いものがあります。重心の位置って影響するものですか? 長谷部 めちゃめちゃ影響します。昔流行った『ファットレディー』というマレット型パターは、アルミ素材の軽いヘッドに対して、ソールにドカンと大きな錘(おもり)が入っていました。重心は深くなく、重心距離も短かったので、ブレードパターに近いフィーリングで打てました。それも要因となって大ヒットしたんじゃないのかなって思います。 例えばオデッセイの『2ボール』とか、『テロン』とか、重心が深く、慣性モーメントの大きなヘッドは、誰もが使えるパターではありません。重心がシャフトからどんどん離れていくと、ドライバーと同じように「慣性モーメントが大きくなるから打点のバラツキにやさしい」というロジックと打ち方とのミスマッチに気を付ける必要があります。
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