『おむすび』橋本環奈&佐野勇斗は幸せを掴めるか? 近年の朝ドラヒロインが辿った波乱
天国と地獄が一気に押し寄せた『おむすび』(NHK総合)第12週。翔也(佐野勇斗)から日常の延長線上のお店で、いつもの何気ない会話の流れで「そしたら、結婚すっぺ」とあっさりプロポーズを受けた結(橋本環奈)は、やり直しを言い渡していた。そんな中「明日、大事な話がある」という翔也からのメールを勝手に“プロポーズやり直しフラグ”と読み違え浮足立つ結にまさかの展開が待ち受ける。 【写真】気まずい雰囲気の結(橋本環奈)ら米田家 自身が肩を壊し今までのような球を投げられなくなったことを結とキャッチボールをすることで自然と伝えようとする翔也のことを思うと胸が締め付けられそうになる。話の切り出し方がわからない、重々しくなりすぎずに話したい、一方でいくら恋人と言ったって他人からの下手な慰めの言葉ならはなから聞きたくない、受け付けたくない……さまざまな翔也の葛藤や防御がここからも読み取れる。 無邪気に今度こそプロポーズ本番が用意されているものだと疑わなかった結と、いつこの話を結に伝えるべきか迷い心の整理をし続けていただろう翔也のギャップがまたあまりに切なくもある。あのあっけないプロポーズ時には、当然のことながら自身も来年ドラフト指名されプロになるという未来を目指せることに対して何の疑いも抱いていなかった翔也と、今グラウンドで声を詰まらせながらその道が途絶えてしまったことを伝え、泣き崩れる彼の落差もあまりに大きく結も心が追いつかない。プロポーズは何回だってやり直せたって、あの時に翔也が確かに手にしていた未来はもう掴み直すことができないのだ。 またまずいことに、一人プロポーズの再来だと舞い上がっていた結だけに、きっとなぜこんな大切な話を自分にしてくれなかったのかと翔也に問い正しそうな展開が見えている。 同じ歩幅で同じ方向を見て歩いていたと思っていた相手と徐々にスピードだけでなく向かう方向性さえ変わってきてすれ違う姿というのはこれまでの朝ドラの中でも幾度となく描かれてきた。 例えば『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の2代目ヒロイン・るい(深津絵里)の夫となった錠一郎(オダギリジョー)は、トランペット奏者として認められ、これからさらに大きな飛躍が約束されていたタイミングで突然トランペットが吹けなくなってしまう。自己表現の方法であり道標でもあったトランペットと共に生きてきた錠一郎は自分が自分でなくなってしまったかのような空っぽな感覚に陥り婚約者であるるいにも合わす顔がなく、生きることさえ手放してしまいそうになる。そんな彼をこちら側に繋ぎ止めたのはるいの「わたしが守る」という強い決意と容赦ない愛情だった。