『舞いあがれ！』では進路の変更をきっかけに破局を迎えることに

　その一方で3代目ヒロイン・ひなた（川栄李奈）は時代劇の大部屋俳優・五十嵐（本郷奏多）にプロポーズを受けながらも俳優を辞めるという彼を思い止まらせようとし知らず知らずのうちに彼から逃げ道を奪い追い込んでしまい破局を迎えていた。「ひなたの明るさが、俺には眩しすぎるんだ」という五十嵐からの渾身の一言には、最初は互いに惹かれ合ったその違いこそが今や2人を引き裂く決定的な溝として横たわっていることをまざまざと突き付ける。残酷な時の流れや誰も止められないし誰も悪くはない変化の非情さが詰まる別れだった。 　いつの間にか進む道が変わってしまい別れを選ぶことになったのは『舞いあがれ！』（NHK総合）の舞（福原遥）と柏木（目黒蓮）も同じだ。航空学校で出会い惹かれ合った2人だったが、航空会社の内定を辞退して実家の工場を建て直すことを決めた舞に「そういう舞だから好きだった。短い間でも一緒に空を目指せて幸せだった」と柏木は別れを切り出していたが、思えば先述の五十嵐の言葉とも重なるところがある。 　就職先も決まり職場で自身の能力を発揮できる場面も増えてきそうな結と、自身の才能で存在意義で最大の取り柄である野球を突然奪われてしまった翔也。これまでの人生のほとんど全てで、これからの未来の真ん中に当たり前にあった対象が突然なくなってしまった翔也と、その変化に近くにいながら気づけなかった結となると、このままプロポーズ仕切り直しが実現される将来は現時点では翳りを見せているといえるかもしれない。