それぞれの視点で“形”について考える「マメ クロゴウチ」と「アンリアレイジ」、気になる若手も目白押し 2025年春夏パリコレ日記Vol.1
浅草サンバカーニバルや仙台七夕まつりもビックリなブランドとは?
村上:私がその間に向かったのは、「ジェルマニエ(GERMANIER)」。今年のオリンピックで閉会式の衣装を担当したデザイナー、ケヴィン・ジェルマニエ(Kevin Germanier)が手掛けています。さすがは、オリンピックの衣装デザイナー。コレクションは、浅草サンバカーニバルと仙台七夕まつりを足して、さらに2を掛けたくらいの迫力です(笑)。“仙台七夕まつりモンスター“のような衣装は、VHS(懐かしいw!)テープを再利用しているんだとか。モデルは、アラン・ロシュ(Alain Roche)というパフォーマーで、サソリになりきって演じたそうです。
浅草サンバカーニバルだと思ったのはあながち間違いではなく、一部の洋服はブラジルの若手デザイナー、グスタヴォ・シルベスター(Gustavo Silvestre)との共同制作。若手をフックアップする試みのようです。ただ奇抜なだけじゃなく、ちゃんとサステナブルで、業界のことを考えている。伊達や酔狂で閉会式の衣装デザイナーじゃないんですね。
あのアイドルもサプライズ登場 !風の力で表現する非日常的シルエットを描く「アンリアレイジ」
藪野:そして再び合流して、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」へ。今季のコンセプトは「風」。これまでも光で色が変わる服などを提案してきましたが、今回は風の力を使って服の形を変化させることで、風を可視化することに挑みました。そこで森永さんが目をつけたのは、「空調服」。そう、ワークマンなどで見かける夏の作業時などに使われるような小型ファン内蔵の服です。先のメンズコレでも、日本の熱い夏の影響をクリエイションに反映したデザイナーが多かったですが、「空調服」に目をつけるのは、「アンリアレイジ」らしいですね。
ショーではモデルが3人ずつ登場。フォトグラファーの前に並ぶと、ファンが動いて一気に服が膨らむという演出で見せました。その形は昆虫や異世界の生物のようです。普通の「空調服」は風が生地を通り抜けてしまうので、コレクションでは膨らんだ形を実現するために、世界最軽量でありながら高密度に織り上げた極薄ナイロンと、防風加工を施したオーガンジーやツイードを使用。京セラの次世代テキスタイルプリンター「フォレアス(FOREARTH)」で捺染したという水玉模様やチェックも、風に吹かれたように散らばっています。