6チームの総当たり戦で総試合数は15?30? 東大生が解説、実生活で便利な高校数学「順列・組み合わせ」理解のコツ
数学を使って世の中の仕組みを知ることで、物事を見る視野が広がります。現役東大生の永田耕作さんが数学の魅力について解説する連載『東大式「新・教養としての数学」』。今回は「順列・組み合わせ」について解説します。 ■6チームから2チーム選んで対戦させると全部で何試合? 今年もプロ野球のペナントレースが行われ、試合のたびに数万人の観客が球場に集まり、毎日盛り上がりを見せています。プロ野球の試合はいわゆる「総当たり」戦という、それぞれのチームが満遍なく対戦できるような仕組みで行われています。
今回は、この総当たりについて数学的に分析します。この仕組みや考え方を知っておくと、物事の順番や組み合わせを考える際に、漏れや抜けを防ぐのに役立ちます。 さっそくですが、こちらの問題を解いてみてください。 問題①: 6つのチームの中から2チームを選んで対戦させるとき、総試合数は何試合になりますか? この問題を見て、AはB~Fとの対戦で5試合、BはA、C~Fとの対戦で5試合……となり、よって求める選び方は6チーム×5試合で30試合。
と考えた人もいるのではないでしょうか。この問題の答えは30通りではなく、それを2で割った15試合になるのです。答えが30試合になるのは以下の問題です。 問題②:A~Fの6つのチームの中から2チームを選んで対戦させます。ホームとビジターでそれぞれ1試合ずつ対戦する場合、総試合数は何試合になりますか? 問題①であれば、A対BとB対Aは同じものとして扱われます。どちらがホームなのかの区別が行われていないからです。
一方、問題②では「A×B」と「B×A」は別のものとして扱われます。Aのホームで行われる「A×B」とBのホームで行われる「B×A」は、別の試合とカウントされるからです。 高校数学的にいえば、問題①は選ぶものの順序を考慮しない「組み合わせ(C)」、問題②は順序を考慮する「順列(P)」となります。 ■プロ野球の試合数で感じた疑問 ちなみに、プロ野球の試合数について、僕はかつて疑問に思ったことがあります。プロ野球のレギュラーシーズンの試合数は、1チーム当たり143試合です。昔は144試合でしたが、スケジュール管理や、クライマックスシリーズへの接続などのさまざまな問題から、2015年シーズンより試合数が1試合減って143となりました。