生成AIは人間の“情報収集アシスタント”

近年、情報収集の手段として、ChatGPTなどの生成AIを使用する人も多い。 情報収集や活用という観点から見て、生成AIとどのように付き合うべきか。 「私の主観ではありますが、生成AIで何かを調べようとした場合、収集できる情報はほぼこれまでのインターネット検索で取得できる情報と同じだと感じます」 と、中崎氏。 なお、生成AIが作る情報の多くは、何をソースとして学習をしているかが明確でなく、偽りの情報が含まれる可能性も多分にあるという。 検索型の生成AIは、公共機関の公式情報、大学教員の研究論文、匿名の個人のブログの情報などを一緒くたにして回答の根拠データとして提示していることも多く、「情報の質」は吟味されていないことを頭に入れておくとよいだろう。 検索型の生成AIが出した情報のファクトチェックを行う場合は、回答の内容だけでなく、根拠データのリンク先のドメイン、引用元の文章の著者名、著者の経歴、発行元などの情報も参照するとよい。 「生成AIは、要約・概要をまとめること、アイデア出し、文章の構成案、ブラッシュアップなどには力を発揮しますが、実はあまり情報収集には向かないもののように感じます。 あくまで人間が情報収集の主体であり、生成AIはそのアシスタントという付き合い方が、今のところは向いているのではないでしょうか。 『Garbage in, garbage out（ゴミを入れたら、ゴミが出てくる）』という言葉があるように、質の良くない情報からは粗悪な結果しか生み出すことができません。その言葉を念頭に、質の担保された情報を得られるようなリテラシーを身に付けたいものです」 中崎倫子（なかさき・ともこ） 昭和女子大学 図書館司書、現代ビジネス研究所研究員。筑波大学 第二学群日本語・日本文化学類卒、大阪大学大学院 言語文化研究科 博士前期課程修了（修士）。大学院生時代に培った学術系の情報収集の技術や統計学・データ分析の技術をもとに、レファレンス担当・ガイダンス担当として、利用者に図書館の利用法や資料収集の方法を教える。コロナ禍に、図書館が利用できない大学生のために「私家版 学術関係リンク集」をnoteで発信し話題を集めた。