大学を「買う」方法がわからない――透明性あるM&Aが進まぬ理由
18歳人口は2035年度に100万人を切った後、75万人に向かって真っ逆さまに落ちる「瀑布」が待つ(panitanphoto/shutterstock)
日本最大の私立大学の足元が揺らいでいる。不祥事が続いた日本大学への志願者が大幅に減少しているのだ。日大が発表した3月5日現在の2024年度「入学志願者数一覧」によると、4年制大学部門(夜間部を除く)の志願者累計は7万5442人と、前年度(最終数)の9万8057人から2割以上落ち込んでいる。大学の入試には様々な形態があるため、まだ積み増しされるが、志願者ののべ数は2万人以上の減少が避けられない。 13年にわたって理事長として君臨した田中英寿氏が、2021年に逮捕・起訴され、脱税で有罪となった田中事件を受けて、林真理子氏を理事長に迎えるなどガバナンス体制を刷新したものの、2023年にはアメリカンフットボール部員が大麻や薬物使用で逮捕されるなど不祥事が続いた。責任を取って同年に副学長が辞任、酒井健夫学長も3月末で辞任することを決めて幕引きを図ったが、2月下旬にアメフト部員が新たに書類送検されるなど余波が続いている。入試の出願時期を迎えても問題が尾を引いていることが、志願者の大幅な減少につながっているのは間違いない。 報道によると、「日東駒専(日大、東洋大、駒澤大、専修大)」と呼ばれ日大と競合する「東駒専」に受験生が流れているという。東洋大学は志願者を1万人以上増やして9万人台となり、日大を大きく凌駕。駒澤大も前年比102%の約3万人、専修大も同113%の4万人台と、志願者を増やしている。
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磯山友幸