「あやしい学校ではないですよ」京都国際スカウトが現地記者に明かした苦悩「いろいろあるっス」優秀な中学生にどう声をかけたのか?
「野球をするためにここに来たんで」
かつての野球部は韓国籍の選手が大半を占めていた。野球部寮の食堂には食べ放題のキムチが常時、置いてあったという。しかし今はベンチ入りメンバーの中で韓国籍を持つ選手は「1番・レフト」の金本祐伍、1人だけだ。ちなみに自分のルーツを知ったのは高校に入ってからだったという。金本はあっけらかんと語る。 「韓国語、あんまりわからないんで、ハーフぐらいなのかなって思ってたんです。そうしたら、バチバチでした。ああ、そうなんだ、って。僕は野球をするためにここに来たんで」 京都国際の全校生徒数は138人。そのうち61人が野球部員で、ほとんどが日本人である。岩淵が話す。 「韓国籍の選手はいるときはいるでしょう? うちもそれと同じです。国籍に関係なく選手をとって、いるときはいるという程度。うちは理事長も校長も韓国籍なんですけど、韓国籍の選手をとってこいということは言わない。つぶれかけた学校を建て直してくれたのは日本人の僕らだということがわかっているので、そこは自由にやらせてくれているんです。考えようによっては、こんなに野球部を大事にしてくれている学校はないと思うんですよ。学校の行事も野球部がいないと盛り上がらないので、野球部の日程に合わせてくれる。だから選手勧誘のときは必ずこう言うんです。学校ではなく、僕らに預けてください、って」 学校の中に、野球に特化したもう一つの学校がある。そんなイメージのようだ。岩淵の悲願は校歌の変更だ。 「勧誘の現場を歩いていると『変えてやれや』とよく言われます。そうすれば『もっと選手も来てくれるやろ』と。じつは2021年の選抜で甲子園に初出場したとき、変える一歩前のところまで行ったんです。もう、新しい歌もつくって、既成事実をつくってしまえば大丈夫だろう、と。でも、ダメでしたね。いろいろあるっス」 愛称はチャラ男ちゃんだが、やることは大胆なのだ。
(「野ボール横丁」中村計 = 文)
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