パリ五輪で「突出するドーピング検査数」に不満募らす中国
「選手31人のうち、毎日20人近くがドーピング検査を受けた。同じ選手が1日5回から7回のドーピング検査を受けたこともあった」 「ベッドで寝ている早朝6時に、ドーピングの検査員がやって来た。午後に休憩している時だって。さらには夜の9時を過ぎても、抜き打ち検査があるので、夜中まで寝ることができない。時差ボケや練習の疲労を感じているというのに、だ」 このコメントは、中国のメディアに載っていた報道からピックアップした。報道を読んだ中国の国民は当然、「なぜ中国だけ、不公平な扱いを受けるのだ」と怒りを募らせることになる。 それにしても、どうして中国の競泳選手に、ドーピング検査を繰り返すのか? パリでの記者会見で、中国のジャーナリストたちも、そんな疑問を投げかける。「トレーニングや休息に悪い影響を与えないか。多過ぎないか」という疑問だ。ドーピングの国際検査機関の言い分はこうだ。 「中国の競泳チームには『問題がある』という一部の報道がありました。我々はすべての国のアスリートを、安心させるため、検査を実施しています。オリンピックが公正かつ、公平であることを証明するための取り組みの一環です」 とはいえ、ただでさえ、観る方も熱くなるのが五輪。応援する中国の人たちはこの説明では納得できるだろうか? ■スポーツにとどまらない“中国の振る舞い”と関り 私は、今回の騒ぎの根っこは、単にスポーツの世界にとどまらないと考える。つまり、国際社会における、中国の“振る舞い”と関係ないようには思えない。 2012年のロンドン五輪で、2つの金メダルを獲った中国の男子競泳選手がその後の国内大会のドーピング検査で、トリメタジジンの陽性反応が出た。そして、3か月の出場停止処分を受けた。しかも、この選手は2018年、ドーピングの抜き打ち検査を妨害したとして、さらに4年間の出場停止処分を受けている。競泳のほかにも、中国は過去、陸上競技などにおいても、ドーピング違反を数多く犯してきた。いわば“前科”が多いから、疑いの目を向けられる。