「あと何十年、こんなに苦しまなければいけないのか」 日本人女性と結婚しても「在留許可」認められず…スリランカ人男性の絶望
●授業料を持ち逃げされるトラブル
その後、思いもよらぬトラブルが起きた。 仲介人に渡していた1年分の授業料の半分を待ち逃げされてしまったのだ。授業料が未納の状態になり、学校にいられなくなってしまう。 このままでは在留資格がなくなってしまうと焦りを感じたナビンさんは、入管に相談しに行った。 ところが、きちんと対応してもらえず、職員に「専門家に聞いてください」と冷たくあしらわれるだけだったという。 「このときは日本語もよくわからなかったし、専門家とはなんなのかもわからなかった。今にして思えば、弁護士のことだったと思うが、もっと丁寧に対応してほしかった」 どうしたら良いのか模索しているうちに、2005年、在留資格を失ってしまった。 実は、その前に、なおみさんと出会い、結婚の約束をしていたが、当時、なおみさんはシングルマザーで子育てが大変だったので、「もう少し子どもが成長して落ち着いてから結婚したい」と言い、ナビンさんも納得していた。 二人は2016年に入籍して、今年で結婚8年目になる。だが、ナビンさんには配偶者としてのビザも出ていない。
●「ビザが切れたからといって私の気持ちは変わらない」
判決後の記者会見で、ナビンさんの代理人をつとめた浦城知子弁護士はこう語った。 「令和5年に入管法が改定されたが、在留特別許可にあたっては日本人との婚姻関係、家族の状況について十分に配慮したうえですべきであるという参議院の付帯決議が十分に反映されていない。仮放免や収容されても、それを乗り越えて夫婦生活を続けているのに、尊重されない結果が残念でならない」 なおみさんは、裁判の結果に暗い表情を見せていたが、それでも変わらぬナビンさんへの想いと、あきらめないという固い意思を示した。 「高望みをしているわけではない。普通の生活をしたいだけ。ビザが切れたからといって私の気持ちは変わらない。この人の人柄を愛している。 私が仕事をしながら彼を支え続け、精神的にも肉体的にも大変でも、自分がこの人と一緒にいたいと選んだ。在特は与えられるべき人に与えられていない。与えてほしいと願っている」 今後、ナビンさんが控訴して、二人は高裁でたたかっていくことになる。今度こそ、勝訴するために多くの人々の応援を必要としている。(ライター・織田朝日)