中国とEU、EV追加関税巡り協議継続で合意-正式発動期限まで数日
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)と中国は19日、中国製電気自動車(EV)への追加関税の適用期限が数日後に迫る中、正式発動を回避すべく、協議を強化することで合意した。
EUのドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)は、王文濤商務相との会合について、実り多いものだったとし、EUが行っている中国製EVへの補助金に関する調査とその期限に「影響を与えることなく」協議を継続すると述べた。
EUの行政執行機関、欧州委員会のギル報道官によると、EU側は中国に対し、EV補助金の調査を継続すると明確に伝えたが、「双方は価格に関する取り決めを再検討することで合意した」という。
中国商務省も声明で、双方は価格に関する新たな取り決めの可能性について引き続き協議し、互いに受け入れ可能な解決策を見いだすことに尽力すると表明。同省はさらに、関税に対しては「必要な措置」で対応するとした。
中国は以前、関税を回避するために輸出価格と輸出量を管理する価格へのコミットメントをEUに提示たが、EU側は拒否していた。
王氏は18日にはブリュッセルで自動車メーカーと個別に協議も行った。EUは関税を正式に賦課するかどうかを巡り25日に加盟国の採決を行う予定だが、期日は若干ずれ込む可能性がある。
王氏はドイツとイタリア、ベルギーを歴訪し、関税に反対票を投じるよう各国の説得を試みている。EUは中国製EVに最大で約50%の追加関税を課すことを提案している。
25日の投票で、加盟国の特定過半数(域内人口の65%を占める15カ国)が反対しない限り、関税は11月から5年間にわたって課されることになる。
EUが懸念するのは、電動化の影響を大きく受ける自動車や自動車部品業界の数万人の雇用と経済効果だ。関税は、世界的な拡大を加速させる中国EVメーカーとの競争において、欧州メーカーに一時的な余裕を与える可能性がある。
中国にとっては、欧州はEV輸出先として最も利益率の高い市場の一つだ。比較的少ない障壁で欧州市場にアクセスできれば、中国メーカーは国内での激しい競争で低下した収益性を押し上げられる。