若い人だけでなく、中年世代の間でも転職が当たり前の時代に。2025年4月から失業給付の受給条件が緩和される! どのように変わるの?
会社員のAさん(38歳)は、大学を卒業してからずっと同じ不動産会社に勤務しています。今の会社に大きな不満はないけれど、よい条件の会社に移っている学生時代の友人や同期を見ると、40歳を前にこのまま同じ会社にいてよいのかと少し焦る気持ちもあり、転職活動を始めようかと思い始めています。 転職を視野に置くなかで、失業保険のルールが2025年4月から改定になると聞いたので、どのように改定になるのかを知りたいとのことです。そもそも失業保険がどういうものなのか、改正後はどのようになるのかを解説します。 ▼早めに転職が決まったら「受給できる手当」を確認しよう!
失業給付とは
Aさんが失業保険と呼んでいるのは、社会保険の一つである雇用保険の失業給付のことで、「基本手当」が正式名称です。 基本手当は、雇用保険の被保険者(会社員)が、仕事が合わないなどの理由での退職(自己都合)や、勤務先の倒産・契約期間の満了(会社都合)などで、仕事を失ったときに失業中の生活を心配せずに、次の仕事を落ち着いて探せるよう支給されるものです。 就職しようという積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があることが支給の条件なので、病気やけがのため、すぐに就職できないなどの状態のときは、基本手当は支給されません。 受給資格があるのは、65歳未満の人です。65歳以上の人は、基本手当の代わりに「高年齢求職者給付金」を受給できますが、基本手当と比べると金額は少なくなります。また、基本手当と異なり、まとめて1回分を支給されます。 自己都合で会社を退職した人は、原則として、離職した日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あることが受給の条件になりますが、会社都合で離職をした人の場合は、1年間に6ヶ月以上と受給要件が緩和されています。 基本手当の支給を受けることができる日数は、離職の日の年齢、雇用保険の被保険者期間、離職理由によって決定され、90~360日間で決定されます。会社都合は、自己都合と比べて手厚い給付日数となる場合があります。 雇用保険で受給できる1日当たり金額(基本手当日額)は、原則として、離職した日の直前の6ヶ月に毎月支払われた賃金(賞与は除きます)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60~64歳は45~80%)となっており、賃金が低いほど高い率となっています。 1日当たりの金額は下限と上限が決められており、2024年8月現在の下限と上限は図表1のとおりです(※1)。 図表1