人気洋菓子店の最後の1日『開店2時間前に300人』並んだ人は「娘が大好き...思い出が詰まっている」「買えなかったら泣く」37年の歴史に幕『なかたに亭』
オープン当時の案内状を大事にしていた50年来の友人
午後1時半。1人の男性がやってきました。塩田博之さん。中谷さんとは高校の同級生で50年の付き合いです。 (塩田さん)「見にきてん。最後」 (中谷さん)「えー、ありがとう」 (塩田さん)「彼がずっとここでがんばっていて。涙が出てくる。今でも持っている。ここがオープンした時の案内状」 (中谷さん)「そんなん持ってるの。凄いなそれ。覚えてない」 (塩田さん)「『このたび長年の夢がかない、自分の店をオープンすることになりました。ショーケースの中のいろとりどりのお菓子達と一緒にみなさまのお越しを心よりお待ちしております。 中谷哲哉』」 (中谷さん)「なんかちょっと思い出してきましたね。完全に忘れていたけど。ありがとう」 (塩田さん)「がんばって」 午後3時。朝、行列に並んでいた男性の姿が。 (午前6時過ぎの男性)「(Qゲットしたいものは?)やっぱりカライブ。買えなかったらたぶん泣くと思います」 開店から5時間が経っていますが、お目当てのカライブはまだ残っているのでしょうか? (注文する男性)「カライブを2つと…カライブをあともう1つで」 (男性)「(Qきょうの収穫は?)カライブを3つ。自分はとりあえず2つ食べるので。最後に食べられると思うと良かったなと思います」 午後4時半。だんだんと残りのケーキも少なくなってきました。 (スタッフ)「フレジエ完売です」
「お客さんに本当に率直に誠実に向き合ってくれたのが本当にうれしい」
少しずつ閉店の時間が近付いてきました。そして… (中谷さん)「これ最後の2つなので。37年間の最後のケーキ」 (客)「これ2つください」 午後5時。最後のケーキが売り切れ、『なかたに亭』の最後のお客さんを送り出しました。 (なかたに亭 中谷哲哉さん)「皆さんお疲れ様でした。ありがとうございました。ひとときも、つくる人・販売の人が笑顔を忘れず、お客さんに本当に率直に誠実に向き合ってくれたのが本当にうれしいです。多分それは伝わっていると思います。『なかたに亭』は今日閉店するんですけど、みんなとの関係が終わるわけではないので。ちょっとゆっくりさせてもらって、また何か新しいことができたらいいなと思います。本当に長い間ありがとうございました」 人生の節目に寄り添い、食べた人を笑顔にしてきた『なかたに亭』のケーキ。 その優しい味と思い出の記憶はこの先も消えることはありません。 (2024年3月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)