【箱根駅伝】帝京大学は10位 ルーキー小林咲冴、四つ巴のシード権争いで勝ち切る「10区でおいしいところを持っていきました」
復路のエース小林大晟がシードの扉をこじ開ける
戸塚中継所の時点で帝京大は9位の日体大、東洋大と24秒差、12位の東京国際大と29秒差。プレッシャーがかかる中でも力を発揮できるのが、復路のエース・小林大晟の強みだ。前回も9区区間3位、全日本も8区区間4位でシード権獲得に貢献した。その経験を今回も生かした。 最初は焦らず自分のペースを刻み、じわじわと迫った。13km過ぎに順天堂大、日体大、東洋大をかわして8位に浮上。監督からは集団の中で力を温存する指示があったが、小林大晟は前に出る選択をした。「10区が1年生だったので1秒でも前で渡して楽をさせてあげないといけないと思った。それが4年生だと思うので」 終盤で東洋大の吉田周(4年、広島国際学院)に抜き返されたが、区間4位で順位を9位に押し上げた。終盤でペースダウンしてしまった悔しさは残ったがシードの扉をこじ開けた。
箱根デビューの小林咲冴「自分は主役をとれる」
9区終了時点で、8位東洋大、9位帝京大、10位順天堂大、11位東京国際大の4チームが32秒差の中にひしめき合った。1チームだけシードを落とすという大混戦。命運を托(たく)されたのはルーキーの小林咲冴だった。 チームで唯一エントリーされた1年生で、10区は自ら志願した。先輩について厳しい練習をこなす姿を見ていた中野監督は「力がある。やれるはず」と自信を持っていた。そして学生駅伝デビュー戦とは思えないほど堂々とレースを展開した。 8位集団を形成すると、ペースを上げたり下げたり、他校の顔色をうかがいながら駆け引きを続けた。「相手のストレスをためようと思って。ストレスがたまったら疲れるのも早まる。自分は仕掛けているだけで、楽しみながらやっていました」 ラスト1kmで東京国際大の大村良紀(3年、浜松商業)が猛スパートを仕掛けると、小林咲冴も食らいついた。ゴール手前では後方を一瞬見た。「東京国際と東洋には追いつけないが、順天との差なら逃げ切れる」。最後の力を振り絞り10位でゴールに突っ込んだ。山中と高島に迎えられるとふっと涙がこぼれた。 「10区でぎりぎり(シードに)入ったら主役だなと。自分は主役をとれると思っていた。10区でおいしいところを持っていきました(笑)」と満足げだった。 チームは往路14位から復路4位と見事に巻き返し、2年連続でシード権を獲得した。 「諦め悪いよな」。中野監督はチームスローガンを体現した選手たちをねぎらった。