<センバツここに注目>智弁和歌山・青山達史 「俺、いけるわ」とうぬぼれ 改心の理由
3月18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会。主役候補の注目選手を担当記者が紹介します。青山達史内野手(2年)は強豪の智弁和歌山で1年春からベンチ入りしました。しかし、その後に「うぬぼれ」に気づきました。 ◇「何を今の自分に満足してるんや」 うぬぼれたが、改心した。だから、今がある。 川崎市出身。小学生の時にプロ野球・DeNAのジュニアチームの一員に選ばれ、中学時代は世田谷西リトルシニアでプレーした。「甲子園でプレーしたい思いがまず強かった」。高校は関東圏ではなく、甲子園で春夏計4回優勝の智弁和歌山を選んだ。 入学した2021年春、背番号「10」をもらった。強豪校でいきなりベンチ入りできた。結果もある程度残し、「俺、できた。いけるわ」と得意になった。 しかし、現実は甘くなかった。その数カ月後、智弁和歌山は夏の甲子園で優勝したが、自身は試合中に審判にボールを渡すボールパーソンとして、その瞬間を見届けた。「あんまり喜べなかった」。ベンチから外れ、ふと思い返した。「何を今の自分に満足してるんや」。気持ちを入れ替えた。 夏の甲子園優勝の時の正捕手で、後にU18(18歳以下)高校日本代表にも選ばれた1学年上の渡部海さん(18)にくっつき、技術や練習の姿勢を学ぼうとした。なぜ、渡部さんだったのか。「周りに流されず、自分のことを黙々とやっていたから」 渡部さんは昨夏の和歌山大会で3本塁打を放つなど結果を出した。「自分に厳しくやっている人間が最後には活躍するんだ」。先輩の姿が手本となり、自身の行動が変わった。 新チームでは主将に就いた。「あかん方向に行ってる人がいたら、『そっちちゃうぞ。俺についてこい』と声を掛けたい」。チームが同じ方向に向くようにするのが主将の役割と考える。その姿勢に、中谷仁監督(43)は「他の選手とは明らかに違う速度でいろんなことを考え、大人になっている」と評価する。 185センチと大柄な3番打者で、長打力が魅力だが、状況に応じた打撃が重要と考える。「チームが苦しい時、打ってくれと思っている時に打てるか。練習から自分に圧をかけている」。今は名実ともに智弁和歌山の柱だ。【荻野公一】