自信がない人へ贈る…「驚きの」アドバイス。「料理」と「演劇」を上達させる共通点とは
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行した。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第34回 『「自分だけを見るな!」人前で話すことに自信がない人に向ける“他人を観察する”ことの重要性』より続く
周りをじっくり見ること
「プロの俳優になれるかどうか自信がない」という時に、「絶対的な保証」はないと言いました。 でも、ぼくはそういう学生に「君と同じ年くらいの俳優の演技をたくさん見なさい」と言います。 まずは演劇系の学校のクラスメイトですね。「ああ、私なんかダメだ」とか「あの人うまいなあ」とかの、チラッと見ただけの漠然とした観察ではなく、徹底的に見るのです。 そうすると、クラスメイトが30人いるとすると、「私よりうまい人が7人、同じぐらいが10人、あきらかに私より下手な人が13人」なんて結論がでるかもしれません。 この数字は、正確じゃないかもしれません。それでもいいのです。大切なことは、周りをじっくり見るということです。
美味しい物を食べる
それが終わると、街へ出て、自分と同じ年くらいの人が出ている演劇を見ることをぼくは勧めます。そうすることで、さらに広い範囲で「同じ年ぐらいで私よりうまい人はどれぐらいいるのか。私と同じぐらいの人は?私より下手な人は?」という観察ができるようになります。 そうすると、やがて、君はぼんやりと若い俳優に関する「地図」を手に入れることができるのです。 その地図は、君が興味のある世界で、自分自身はどの辺りに立っているのか、ということを教えてくれる地図です。 君が将来、シェフになりたいと思っているのなら、君はいろんなお店の美味しい物を食べる必要があります。 同時に、いろんなレシピでいろんな料理を作ることも必要でしょう。 料理が上手い人にいろいろと教えてもらうことも大切です。 そうしていくうちに、君の心の中に「美味しいもの」の「地図」ができあがっていきます。 地図ができてくれば、今の自分はどの辺りに立っているのかも、やがて分かるようになります。美味しい料理が集まる中央広場の近くに立っているのか、それとも、まだまだ遠くの街外れに立っているのか。
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