「15年セックスレスです。離婚すべき?」夫婦問題カウンセラー・岡野あつこが教える“3つの判断軸”
――確かに外から見た評価と、実際の悩みにギャップがありますね。 はい。特にこの方の場合は、夫婦関係が良好だからこそ、重要な話し合いができない状態に陥っているんでしょう。「家族のように」なってしまうと、デリケートな話題はより切り出しにくくなる。これはよくある落とし穴ですね。 ● 三つの軸で整理する ――では、どのように状況を整理していけばいいでしょうか? これはもうね、人生の選択の話ですよね。相談者さんが今、本当に必要としているのは「決断」だと思います。まず、人生を逆算して考える必要があります。 具体的には三つの軸で整理していくといいでしょう。(1)子どもを産むか産まないか、(2)セックスをどう考えるか、そして、(3)愛とお金のどちらを重視するか。こういう基準を持って選ぶことが大事です。 ――三つの軸について、もう少し詳しく説明していただけますか? まず、子どもについては、「欲しい、欲しくない」という曖昧な判断ではなく、はっきりと決める必要があります。もし子どもが欲しいなら、夫とは難しいわけですから、離婚して恋人との未来を考えるべきでしょう。「産んでもいいかな」程度の気持ちでは、決断の軸にはなりません。本当に子どもが欲しいのか、それとも周囲からのプレッシャーなのか、見極める必要があります。 ――夫とは「仲が良い」ものの、きょうだいのようだと感じているそうです。 岡野:仲が良いのに離婚するのは辛いですよね。でも、仲が良いだけで寂しさを抱えたまま、子どもも諦めてこのまま一生を過ごすのが幸せなのかどうか。ここを見極める必要があります。人生は短いですし、子どもを持つことを考えるなら、タイムリミットが迫っていますから。
● セックスレスをどう考えるか? 次に、二つ目の軸はセックスをどう考えるか、です。夫婦としての親密さについては、現状の「仲の良さ」と「親密さ」は別物だということ。家族のような関係性もいいけれど、それは夫婦として求める関係性なのかどうか。これを曖昧にせず、自分の本当の気持ちと向き合わないと。 ――15年もセックスレスというのは、やはり辛い状況ですよね。 まだ40歳でしょう?多分25歳くらいで結婚して40歳ってことですよね。40代、50代の女性は、まだまだセックスはできるし、したくて当然だと思うの。なのに、セックスレスが夫側の拒否によるものだという点も、彼女にとって非常に厳しい現実ですよね。 拒否しているのは旦那さんなのだから、セックスをしたいのであれば、この人じゃないわけですよ。「寂しくて恋人ができた」「彼を愛している」とのことだけれど、バレたら終わりじゃない。 ――確かに、よく10年もバレなかったですね……状況を改善する方法はないのでしょうか? 一般的には夫婦間でしっかり話し合うことが勧められるけれど、今回のケースでは既に15年も続いているとなれば、今さら解決するのは難しいでしょう。さらに、彼女には既に恋人がいて、その恋人との関係が10年以上続いているという事実があるわけですよね。 きっと、夫にもバレていないし、恋人ともなんだかズルズル来ちゃったけれど、そろそろタイムリミットだし、誰かに背中を押してほしい、ということなんでしょう。決断時だと思いますよ。 ――女性の40歳、子どもを産むなら確かにそろそろタイムリミットです。 夫と別れて、 恋人と結婚した方がいいのかどうなのかは、「子供を産む産まない」、それから「セックスを望むか望まないか」の選択なわけですよ。それを望むのなら、この夫はしてくれない、拒否なんだから、今の彼のところに行った方がいい。で、ここでさっき言った「愛とお金」の話になるんです。