イラン「圧倒的対応」の再報復示唆…米国は戦略爆撃機を追加配備
イランが5日の米大統領選挙前にイスラエルに再報復する可能性があるとの見方が出てきた中で、イランの最高指導者ハメネイ師がイスラエルと米国の攻撃に強硬対応する意向を明らかにした。米国は中東にB52戦略爆撃機を追加配備すると発表した。 現地メディアによると、ハメネイ師は2日「シオニスト政権(イスラエル)であれ米国であれイランと抵抗戦線に対する攻撃は確実に圧倒的な対応を受けることになるだろう」と話した。 先月26日のイスラエルによるイラン軍事施設攻撃直後に「(イスラエルの攻撃を)誇張したり軽視したりしてはならない」として慎重な反応を見せたのとは違った雰囲気だ。イラン革命防衛隊のサラミ最高司令官も「(イスラエルに対するイランの報復は)想像できない水準になるだろう」としながら大規模な報復攻撃を予告した。 ◇ヒズボラとハマスがだめならイラク民兵組織 ただハメネイ師は攻撃時期や範囲については言及しなかった。これと関連し、ワシントン・ポストは「ハメネイ師は攻撃がイランで始まるだろうとは明確に話さなかった」とし、イラクの民兵組織がイランと協力していると報道した。 イランが後援するイラク国内のシーア派組織であるハラカト・ヒズボラ・アル・ヌジャバの政治委員は同紙に「われわれはイランの空爆成功を保障するためにイランと全面的に協力している。イランはこの地域のどこでも報復する権利がある」と話した。いわゆる「抵抗の軸」であるヒズボラとハマスが打撃を受けた状況でまた別の構成員であるイラク民兵組織が役割をするという意で読まれる。 イスラエル情報当局もイランが米大統領選挙前にイラクの民兵組織を通じて多くのドローンと弾道ミサイルで攻撃を敢行するだろうという分析を出したという。 ◇「B52戦略爆撃機の追加配備で戦闘力強化」 こうした中、米国メディアのアクシオスはバイデン政権がイランに「(再報復を敢行すれば米国は)イスラエルを阻止できず、(イスラエルの)次の(対応)攻撃が以前の攻撃のように(限定的に)調整されるものとは確信できない」というメッセージをスイスを通じて伝えたと報道した。これまで米国はイスラエルがイランの核施設、石油施設を攻撃しないよう説得してきたが難しくなるかもしれないという意味だ。 前日に米国は中東地域の戦闘力増強も発表した。米国防総省のライダー報道官は、オースティン国防長官が中東地域に弾道ミサイル防衛駆逐艦、戦闘機大隊と空中給油機、B52戦略爆撃機数機の追加配備を指示したと明らかにした。 これは中東にあった空母「エイブラハム・リンカーン」の戦団が撤収準備をしながら出てきた措置だが、戦略爆撃機の追加配備により米軍の戦闘力は強化されるとAP通信は分析した。米国はイスラエルに高高度防衛ミサイル(THAAD)砲台も配備した。 一部では先月26日のイスラエルの攻撃によりイランの防空網など軍事資産が深刻な打撃を受けイランの対イスラエル再報復の決心は容易でないという分析も出ている。米中央情報局(CIA)出身の中東専門家ノーマン・ルール氏はウォール・ストリート・ジャーナルに「イランの作戦論争はイランが何をできるのかより、イスラエルが報復する時にイランがどのように自身を防衛するのかに焦点が合わされるだろう。イラン指導部で鋭い論争が広がるかもしれない」と分析した。 ◇イラン内部で「われわれは核兵器生産能力備えている」 しかしイランでは核兵器など大量破壊兵器(WMD)を禁止したファトワ(宗教令)を変更することもできるという警告も出ている。イラン最高指導者顧問のカマル・カラジ氏は1日、レバノンのテレビ局とのインタビューで「イランは核兵器生産能力を備えている。実存的脅威が発生すればイランは核ドクトリンを変更するだろう。現在これを防いでいる唯一のものが指導者のファトワ」と話した。 ハメネイ氏は2003年にWMDを禁止するというファトワを発表した。だが外部の脅威が続けば備蓄した核燃料で実際の核兵器生産に乗り出すこともできるという警告ということだ。 一方、米国の休戦仲裁にも顕著な成果が出てこないでいる中で、イスラエル軍はこの日海軍の精鋭部隊であるシャイェテット113部隊がレバノン北部に浸透しヒズボラ高位要員を逮捕したと明らかにした。この要員はイスラエル軍の情報部隊の504部隊で取り調べを受けた。前日にはガザ地区南部の空爆でハマス政治局幹部のイズ・アルディン・カサブ氏を射殺した。