アロンソ怒りの「GP2!」発言から苦節9年…名門マクラーレンを26年ぶりタイトル奪還に導いたアンドレア・ステラ代表の艱難辛苦
26年ぶりのマクラーレンか、16年ぶりのフェラーリか──。 今年の最終戦アブダビGPは、コンストラクターズタイトルを懸けた古豪同士の決戦となった。前戦カタールGP終了時点でのポイントはマクラーレンが640点、フェラーリは619点で、その差は21点。1回のグランプリで獲得できるポイントの最大は44点なので、計算上はフェラーリの逆転は可能だった。 【レジェンド写真】マクラーレン時代のホンダとセナ、プロストがカッコよすぎ。初々しいシューマッハー、ヤンチャそうなマンセル…懐かしきF1ヒーローの雄姿を見る(20枚超) だが、フェラーリのシャルル・ルクレールは金曜日にパワーユニットを交換して10番手降格が決まった。さらに予選でトラックリミット違反を犯してベストラップが削除され、Q2で敗退。19番手と最後列に沈んでしまった。 対照的にマクラーレンはランド・ノリスがポールポジションを獲得。チームメイトのオスカー・ピアストリが2位につけ、フロントロウを独占という圧倒的に有利な状況で日曜日のレースを迎えた。 ところが、レースがスタートした直後にマクラーレンの楽勝ムードは一変する。ノリスに続いて1コーナーに進入し、1-2体制を築こうとしていたピアストリに、4番手からスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が突っ込む。弾き飛ばされたピアストリが最後尾まで後退する緊急事態となった。 フェラーリはこの接触の混乱に乗じて、ルクレールが1周目に8番手までジャンプアップ。その後もポジションを上げ続け、34周目にはチームメートのカルロス・サインツに続く3番手まで浮上した。 それでもこの時点では、コンストラクターズタイトルはまだマクラーレンの手中にあった。サインツとルクレールが2位と3位のフィニッシュで33点を獲得しても、ノリスが優勝すれば25点獲得で、21点差をひっくり返されることはないからだ。
後がないノリスの完璧なレース運び
ところが34周目になると、先頭を走っていたノリスと2番手のサインツのギャップは2.4秒まで縮んだ。ノリスがサインツに逆転されて2番手18点になると、1位と3位で合計40点のフェラーリに逆転されてしまう。絶対に優勝しなければならないノリスは、ミスはもちろん、ミスを避けるためにペースを落とすことも許されない状況となった。 「オスカーが最後尾に下がってフェラーリ勢が迫って来てからは、何度か『もう、ダメかもしれない』と負けを覚悟した。でも冷静さを保ち、自分がやるべきことに集中し続けた」 レース後にそう語ったノリスは34周目に2.4秒だった差を36周目に3秒以上に広げ、40周目には4秒にしてフェラーリの猛追をかわした。その走りをチーム代表のアンドレア・ステラが称えた。 「ランドはプレッシャーがかかっていたにもかかわらず完璧な週末と完璧なレースを見せ、われわれが彼に与えた簡単ではない戦略に対して非常に冷静に対処した。ランドだけではない。ピットクルーの仕事ぶりも素晴らしかった。タイトルは最後のピットストップにかかっていた。そこで不手際が起きていたら、チャンピオンシップを失う可能性もあった。そんな状況の中で、ピットクルーは今シーズン最高のピットストップを披露してくれたよ」 そのステラにとっても、マクラーレンでのタイトル獲得には特別な思いがあった。ステラがフェルナンド・アロンソとともにフェラーリからマクラーレンに移籍したのは2015年。ホンダを新しいパートナーに迎えた年だった。 「あの年の開幕戦オーストラリアGPのことはいまでも覚えているよ。2台そろってQ1落ちしたわれわれのベストタイムは、ポールポジションから5秒以上遅かった」 コンマ1秒を競うF1で、1周で5秒はもはや同じカテゴリーではないも同然だった。当時話題となったアロンソの「GP2エンジン」というホンダのパワーユニットを揶揄する言葉は、決して大袈裟な表現ではなかった。 その後、ホンダと袂を分かったマクラーレンはルノーと再出発をはかるが、なかなか低迷から脱出できなかった。気がつけば、ステラはマクラーレンに加入してから今年で10年目となっていた。
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