俳優・陣内孝則さんが「肺がん」手術を公表、ステージ別の余命・生存率・治療法を医師が解説
肺がんのステージ別の検査・治療法
・肺がん・ステージ1の検査・治療法 ステージ1の肺がんでは、手術ができる場合には基本的に外科的手術を行います。 がんの大きさが2㎝以下の場合には、標準的な手術方法の1つとして、肺葉の一部分のみを切除する手術である縮小手術が行われます。この術式は、肺を可能な限り温存することを目的としています。手術の場合は、呼吸器外科や胸部外科が担当します。 標準的な術後入院期間は、平均10日前後です。体の状態が悪く、手術ができない場合には、放射線治療が行われることもあります。この場合には、入院は不要で、外来通院で放射線治療を受けることが多いです。 ・肺がん・ステージ2の検査・治療法 がんのある肺葉(肺の区画のこと)そのものを切除する、肺葉切除術(はいようせつじょじゅつ)を行います。通常はリンパ節郭清(かくせい)(周囲のリンパ節の切除)も行います。がんが肺をおおっている胸壁(きょうへき)や心臓を包む膜である心膜にも及ぶ場合には、それらも一緒に切除することがあります。また、再発や転移を予防することを目的として、手術後に薬物療法を行うことがあります。ステージ1肺がんと同様に、呼吸器外科や胸部外科が治療の主軸になります。標準的な術後入院期間は、平均10日前後です。 ・肺がん・ステージ3の検査・治療法 ステージ3の肺がんに対しては、放射線治療が行われます。体の状態が良好で、細胞障害性抗がん薬が使える、つまり化学療法が可能な場合には、放射線治療と同時に化学療法を行います。これを化学放射線療法といいます。化学放射線療法では、高い効果が見込めますが、治療中に副作用が強く出る可能性も高くなります。従来化学療法を行う場合には入院して点滴治療を受けることが多かったのですが、近年は内服の分子標的薬が開発されたことで、初回のみ入院で様子をみて、問題がなければ外来治療に移行するケースも増えてきています。放射線治療単独の場合には、外来通院で治療を受けることも可能です。放射線治療の期間は、1ヶ月半程度が見込まれます。 ・肺がん・ステージ4の検査・治療法 ステージ4肺がんの場合には、基本的には薬物療法や、緩和治療の適応となります。 しかし、骨転移や脳転移で症状が現れている場合には転移した臓器への治療を優先することもあります。骨転移に対しては、放射線治療を行います。脊椎転移による麻痺や痺れ、痛みなどの脊髄圧迫症状がある場合には、手術を行うこともあります。脳転移によって麻痺などの症状がある場合にも、症状を軽くするための放射線治療を検討します。 ステージ4の肺がんが完治することは難しいかもしれません。しかし、近年免疫チェックポイント阻害薬による治療が行われるようになり、症例によってはステージ4でも長生きすることが期待できるようになってきています。