異例の生放送計量は王者木村が話術圧勝も最強日本人対決世界戦はどうなる?
「田中がスピードに加えて足を止めて打ち合うという新しい局面を見せると面白くなる。井上尚弥は、階級を上げるごとに進化しているが、田中にも、そういう可能性がある。木村に押し負けない自信をつけているとすれば、それは田中のプラス材料。インサイドからのアッパー、ボディは当たると思う。だが、田中の課題でもある集中力が、この試合で、ちょっとでも途切れるようなことがあれば、王者に一気にペースを奪われるだろう。 木村は、コンディション次第。短期間の試合間隔が、どう影響するのか。オーバーワークが心配だ。それでもパワーは階級を上げてきた田中よりも木村が上。もし木村が万全のコンディションを作ってきたのであれば、5.5対4.5くらいの差で木村が若干有利かもしれない。いずれにしろ鍵を握るのは田中の出方だろう。本当にどっちが勝っても不思議ではない試合になる」 理論家の飯田さんの見方がおそらく正しい。 飯田さんに色々と見解を聞かせてもらいながら、筆者の頭に浮かんだのは、田中が打ち合いを選択肢に加えて、木村のフィールドに踏み込むことを決意することが、実は、“禁断の決断”になるのではないか、という危惧だ。もし、田中が打ち合いに応じた結果、木村に押されて下がるような展開になれば勝機はなくなる。逆に飯田さんが指摘するアッパーやボディがインサイドから炸裂すれば逆転もありえるのだが……。ちなみに田中がプロ12戦目で3階級を制覇すれば、日本のジム育ちの“逆輸出ボクサー”ホルヘ・リナレス(ベネズエラ/帝拳)を葬ってWBA世界ライト級タイトルを獲得し、3階級制覇に成功したワシル・ロマチャンコ(ウクライナ)に並ぶ世界最速記録での偉業達成となる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)