中国政府、EVメーカーに国産半導体の購入拡大を指示-関係者
(ブルームバーグ): 中国政府は比亜迪(BYD)や吉利汽車をはじめとする国内電気自動車(EV)メーカー各社に対し、中国の半導体メーカーからの自動車部品購入を大きく増やすよう求めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。欧米製品への依存を減らす取り組みの一環だ。
中国工業情報省は今年、中国製半導体の採用を加速させるため、自動車メーカー各社に国産部品の購入を拡大するよう要請。同省は以前、自動車メーカーに対し2025年までにメーカーで使う半導体の約2割の国産とするよう促す非公式な目標を掲げていたが、その進捗(しんちょく)ペースに不満を募らせていたという。センシティブな情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
関係者によれば、同省は現在、可能な限り外国産の半導体を避けるよう企業側に直接指示している。関係者の1人は、ある大手の国内自動車ブランドが最近実施した入札では、外国企業が最終的な落札企業よりも30%安い見積価格を提示したにもかかわらず、契約を取り付けることができなかったと話した。
工業情報省の動きは、制裁措置や先端テクノロジーの輸出制限を通じ中国の半導体開発を抑制しようとする米国に対抗し、自国のハイテク部門を活性化させようとする中国政府の取り組みを反映している。
自動車メーカーに対する中国政府の指示が、エヌビディアやNXPセミコンダクターズ、ルネサスエレクトロニクス、テキサス・インスツルメンツ(TI)など世界最大のEV市場に半導体に供給するために中国勢と競合している各社の事業に不確実性をもたらすのは必至。
工業情報省にファックスでコメントを求めたが、返答はなかった。BYDと吉利汽車の担当者はコメント要請に応じなかった。
中国自動車ブランドの多くは、STマイクロエレクトロニクスなどさまざまな半導体メーカーから電源管理IC(集積回路)やマイクロコントローラー、ディスプレーICなどの部品を取り寄せている。