富士ソフト買収で飛び交うKKRとベインの奇手奇策、会社の頭越しに前代未聞の手法を駆使
ベインの提案予告について、KKRは経済産業省が昨年8月に策定した「企業買収における行動指針」に抵触すると指摘する。同指針は合理的な根拠を欠いた予告を避けるよう求めており、ベインの手口はこれに当たるという言い分だ。 事情を知る関係者は「(ベインは)提案予告に先立って弁護士事務所とも擦り合わせ済みで、相場操縦には当たらないと考えているようだ」と指摘する。とはいえ、入札手続き終了後の乱入や、金融機関からの資金調達や資産査定が未了な段階での対抗提案をどこまで認めるべきか、企業買収をめぐる法整備の議論を呼びそうだ。
ベインの提案予告の公表も、KKRの2段階TOBも、いずれも会社の事前同意なくして行われた。富士ソフトが積極的な情報発信を控える中、会社の頭越しに投資ファンドが火花を散らす奇妙な構図が続く。
一井 純 :東洋経済 記者