VWと言えばゴルフGTI。最高にカッコよかった初代の他に魅力的なのは?
アウトバーンでは、長時間連続して200km/hレベルの速度を保ち続けられるケースは少なくなかった(これは以前の話であり、現在の状況は大きく変わっている)。 なので、ほどほどの距離なら飛行機で移動するより、クルマでの移動の方が便利で楽でもあった。そんな環境下のアウトバーンでは、大型高出力車の優位性が断然光ることになる。だが、ゴルフGTI 16Vは例外だった。 高速クルージングだけでなく、大小のコーナーが連なるワインディングロードでも、GTI 16Vの走りは冴えた。 しっかり作り込まれたボディと足回りは、ラフな路面にも強く、高いアベレージスピードで走れた。やや硬めの感触ではあるものの、粗さはない。しっかり路面を捉えつつ、快適さをも保ち続けた。 当時のFWD車の大きな弱点に、タイトターンからの立ち上がりでのトラクションの甘さが指摘されたが、GTI 16Vは、これもまた大きく進化していた。
ハイパワーFWD車が、スポーツ好きのドライバーから敬遠されがちな理由の一つはここにあったが、ゴルフGTI 16Vは、そんな難関をもかなり高いレベルでクリアしていた。 GTI大好きな僕なのに、なぜか3~5代目はほとんど印象に残っていない。国際試乗会にも出席しているし、代を重ねるごとの進化もわかっていた。が、なぜか、初代、2代目のように夢中になり、熱くなることはなかった。 丁寧に確実に磨きをかけ、着実に進化してゆくという、VWらしい進化の道筋を辿ってきたことが、結果的には、ワクワクするような刺激性を弱めてしまっていたのだろうか。 それに、ルックス的にも、丸みを帯びた穏やかな表情が、僕にとっては少し物足りなかったのかもしれない。 しかし、そんな僕の感覚に、7代目はカッコよく映った。サイズは少し大きくなったが、全高は低くなり、シャープさを増したディテールと共に、「GTIらしい切れ味/スポーツ性/熱さが戻った」と感じたのだ。