VWと言えばゴルフGTI。最高にカッコよかった初代の他に魅力的なのは?
「ホットハッチ」と呼ばれ、多くのクルマ好きを熱狂させる新しいジャンルを生み出すことになるほどの、強烈な斬新さと熱量に強く惹きつけられたからだ。この想いは今も変わっていない。 2代目、特に1986年に追加されたDOHC 16バルブ エンジン搭載モデルの進化ぶりは目覚ましかった。デビューと同時にドイツに乗りに行ったが、走り出してすぐ、「驚くほどの進化を遂げている」ことがわかった。 4気筒の16バルブユニットは139ps(日本仕様は129ps)を引き出し、208km/hの最高速度と、0~100km/hを8秒で走り抜ける加速を与えられていた。 当時のコンパクト系HBモデルとしては、圧倒的なパフォーマンスの持ち主だった。 ポルシェ、アウディ、BMW、メルセデス等の上位モデルがほぼ独占するアウトバーンの追い越しレーン。そこに、ゴルフGTI 16Vは割って入る力を持っていた。200km/hのクルージングを、悠々とやってのけたのだ。
それは単に速度が速いからだけではない。200km/hという速度域でも、リラックスできる高い安定性を併せもっていたからだ。 日本車にも同程度の「スピードが出る」クルマはあった。、、が、「安心し、リラックスしてスピードが出せるか」となると、首を捻らざるを得なかった。 当時僕は、日本車でのアウトバーン テストも度々行なっていた。200km/h を超えるクルマも珍しくなくなっていた。だが、「安心して200km/hを楽しめる」日本車の登場は、1980年代末まで待たねばならなかった。 とにかく、ゴルフGTI 16Vは、前方に障害がない限り、安心してアクセルを踏み続けることができた。横風にも強く、トップスピード領域でも、強い緊張を強いられることはほとんどなかった。4輪ディスク(フロントはベンチレーテッド)ブレーキも信頼できた。 エンジンは、高回転域でも軽快に回り続け、快い音で包み込んでくれる。ボディにまとわりつく風のざわめきも少ない。