スペシャル企画。「ピエール・エルメ・パリ」実は日本が世界第一号店?ブランド誕生25周年。“日本とピエール・エルメ”の歴史
コラボレーションではなく「対話」が生み出す新しい価値
“コラボレーションという言葉は使わなくなった” ピエール・エルメ氏は、そう話します。日本の文化への興味を持っており、特に日本の作家谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は何度も読んだほど日本へのリスペクトがやまない。「とらや」「ミナペルホネン」「ネスプレッソ」など、日本人に馴染みのあるブランドとの「対話」も記憶に新しいのではないでしょうか。 コラボレーションという言葉が持つ意味よりも、建築家、写真家、画家etc.様々な観点から交流し、お互いの持つ多様性や知識を対話により深めていく。とても印象深かった対話の相手は詩人であり画家でもある、中国出身のフランス人、フランソワ・チェン氏。彼は食いしん坊で、いつもコーヒーとスイーツを食べていて「マカロンへ」というタイトルでエルメ氏へ贈られた詩が、とても印象的だったんだとか。 またもう一つ、例としてあげられるのは自宅で手軽にカフェのような本格的な味わいを楽しめるカプセル式のコーヒーブランド「ネスプレッソ」との対話。エル氏自身がコーヒー豆産地のコロンビアに足を運び、トリマ地域の豆を選び出したシングルオリジンコーヒーやフレーバーコーヒーに加え、このコーヒーと相性のいいケーキも創作。2022年の11月10日(木)~23日(水・祝)までの期間限定で、「東京ミッドタウン アトリウム」でのポップアップカフェにて提供されました この対話で「コーヒーへの知識が深まった」とエルメ氏。色々な産地や色々な香りのことを知れた一方でエルメ氏自身は、コーヒーのお菓子への使い方などを共有。お互いに知識を交換し合うような場面になったと話します。
日本のカルチャーとの邂逅
日本において、日本との歩みにおいてもう一つ挙げるとすれば「日本カルチャー」との邂逅をぜひ取り上げたい。 特筆すべきは2022年のサカナクション 山口 一郎氏がスタートさせたプロジェクト「NF」 と藤原ヒロシ氏「FRAGMENT」がタッグを組んだ「NFRAGMENT」と「ピエール・エルメ・パリ」との新しいお菓子の在り方の提案。店内は当イベントのアートワーク、またオリジナルのマカロンの販売など、お菓子の新たなクリエイションと、そして新たな客層を取り入れる今までと異なるアプローチでした。 ファッション、アート、様々な対話がもたらす「ピエール・エルメ・パリ」のお菓子へのアプローチ。そんなエルメ氏が次なる未来を見据えるのは「プラントベース」。