佐藤信介 監督が語る 長い旅の終わり『キングダム 大将軍の帰還』
「キングダム」の世界を彩る最高の俳優たち、そして音楽
池ノ辺 今作の話題は、やはり王騎将軍ですよね。大沢たかおさんはいかがでしたか。 佐藤 大沢さんはずっと変わらない方で、「疲れたな」なんて言うこともなくいつも同じ調子です。決めるところは決めつつ、決めてるのかなと思ったらギャグを言っていたり、真面目に演技しているのかと思ったら信を茶化してみたり、本当におもしろい人です。実際には暑い寒いもあって大変だったと思うんですけど、そういうことを感じさせない方でしたね。そういうところに僕らも引っ張られていたなと思いました。だから、大沢さんがクランクアップしてもういなくなるとなったら、寂しさももちろんですが、信じられない思いがありました。 池ノ辺 影響されて、皆さんテンションの高い中で撮影されてたんでしょうね。 佐藤 大沢さんは、存在としてはもはや王騎将軍です。「王騎将軍、入られます」みたいな(笑)。『キングダム』の世界を地で行ってた感じですね。 池ノ辺 普段の大沢さんも、あの王騎将軍みたいな感じなんですか。 佐藤 そうですね。 池ノ辺 じゃあ、監督の演出としては、「いつものようにお願いします」と(笑)。 佐藤 これは大沢さんだけでなく、信役の山﨑賢人さんたちもそうなんですが、4作目までくると今更「このキャラクターは?」なんていう話し合いはないじゃないですか。問題は、例えばセリフの前に立ち止まるのか、セリフを言ってから立ち止まるのか、言いながら立ち止まるのか。あるいは、こちらを見るのか、見ないのか。もうほとんど禅問答のような演出ですよ。でもその選択の一つ一つが空気を全て変えるし、流れを変え、おもしろさを変える。そういうところを話しながら作っていったという感じです。 池ノ辺 山﨑さんは、もうすっかり信はこの人しかいないという存在になっていますね。音楽は1作目と同じ、ONE OK ROCK。これがエンドロールでかかって、泣けました。監督の提案ですか? 佐藤 プロデューサーの松橋さんから、最後はONE OK ROCKにお願いしたいと撮影中に話があって、「それは最高じゃないですか」と割と早い段階で決まっていました。出来上がってきたものを聴いて、これはいい曲だと思って仮で作ったエンドロールに合わせてみたんですけど、このタイトルバックは泣けました。