大村崑、92歳の喜劇役者「最期のお迎えは<赤い霊柩車>で。9歳で父が他界。19歳で片肺を切除、寿命は40歳と宣告され。『やりたいことをやってやろう』と逆境が闘志に」
◆86歳で始めた筋トレが与えてくれたもの 長い役者人生を振り返ると、いくつもの節目が思い浮かびます。2018年、86歳で筋トレを始めたことも大きな転機になりました。妻の瑤子さんに「一緒にやろう」と誘われたのがきっかけですが、実はほかにも理由があったんです。 その年、大河ドラマ『西郷どん』に西郷隆盛の祖父役で出演していました。足腰に不安はなかったものの、稽古から本番まで2時間以上も正座を続けると、さすがに立ち上がるのがつらくてね。役者を続けるなら、もっと鍛えなあかんと奮起したんです。 あれから6年。今も週に2回はジムに通っていますが、生活のなかでもトレーニングしています。 たとえば、咀嚼も立派な筋トレ。食事のたびに、何度も噛んで水分で喉を潤してから、ゆっくりと呑み込む。そうすれば、高齢者が陥りがちな誤嚥性肺炎を防げるし、便通もよくなりますから。 それに、日常のいろんな動作がスムーズになるなど、健康でいるだけで毎日がとても楽しいんです。年をとることを悲観しなくなりました。
◆森繁久彌さんに学んだ5つの「な」 もともと僕は、日々のささいなことに幸せを感じる人間です。瑤子さんや友人とおいしいものを食べに行き、笑いながらおしゃべりして。お会計が思ったより安かったら、もう言うことなし! そんな幸せを味わうには、まず心が穏やかでなければいけません。そこで僕が肝に銘じているのが、尊敬する森繁久彌さんのモットー、「負けるな、腐るな、焦るな、いばるな、怒るな」の「5つの『な』」。最近は、特に「いばるな」「怒るな」を心がけています。 森繁のおやじさんは、本当に怒らない人でした。高級レストランの料理がまずかったとき、料理長を呼んで、「あなたが作ったの? 食べてみた?」と優しく尋ね、「のどちんこ、僕が手術してあげよか?」なんてとぼけたことを言ったんです。その場にいた一同、思わず噴き出しましたよ(笑)。 怒りをユーモアに変えて場をなごませながら、穏やかに真意を伝える。コミュニケーションの達人とは、あの人のことです。 昨年12月、子どもに頼らず自立した生活を送るために、夫婦でシニアレジデンスに引っ越しました。高齢者向け施設とはいっても、まわりは元気な人ばかり。自室を一歩出ればさまざまな人がいる。ちょっと面白い声掛けをしたり、名刺をもらったら顔と名前を覚えておいて呼びかけたりと、会話が弾むんです。 いつも笑顔で、いばらず、怒らず、言葉のキャッチボールを楽しむ。それが、いくつになっても幸せに生きるコツです。
【関連記事】
- 大村崑、92歳。妻の勧めで86歳から筋トレ開始。芝居の「見て盗む」力が役立った。心から「元気ハツラツ!」と言える喜び
- 大村崑×岡村瑤子 91歳と85歳の不健康夫婦が今「元気ハツラツ」の秘訣はライザップ。「うちは孫がいないからね。その分、筋肉を育ててる」
- 大村崑×岡村瑤子「妻の決断がなければ、《元気ハツラツ!オロナミンC》はなかった。家出された時はのたうち回り…。大腸がん、前立腺がんを経て」
- 仁科亜季子 4度のがんにもくじけず笑顔、離婚も乗り越えた仁科さん流 幸せの極意とは?元気、陽気、強気、やる気、勇気の「5つの気」を大切に
- 平野レミ「〈ここには和田さんが半分入ってる〉樹里ちゃんに言われ、力強く握ってくれた息子の手が嬉しくて。そして料理が気持ちを前向きにしてくれた」