なぜ最強ロマチェンコは「日本で印象深いボクサー」を井上尚弥ではなく村田諒太としたのか?
3階級制覇王者で、WBO、WBC、WBA世界ライト級統一王者、ワシル・ロマチェンコ(31、ウクライナ)が初来日して5日、都内のホテルで行われたWBO総会のレセプションパーティーにゲスト参加。日本のメディアのインタビューに答え、日本人ボクサーの中で印象深いボクサーとしてWBA世界ミドル級王者、村田諒太(33、帝拳)の名を挙げて、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)とのビッグマッチをターゲットとしている村田に「誰にでもチャンスがある」とエールを送った。WBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(26、大橋)でなく、村田の名前を出したのは、ロンドン五輪の金メダリスト同士ゆえに通じるものがあったのだろう。パウンド・フォー・パウンド2位の最強ボクサーからのエールは12月23日に横浜アリーナで防衛戦に挑む村田にとって心強いメッセージになったのかもしれない。
「村田はストロングマン」
とびきりのゲストがやってきた。 北京五輪、ロンドン五輪の金メダリストで、プロ3戦目で世界王者となり、3階級を制覇、現在、WBO、WBC、WBAの3団体統一世界ライト級王者のロマチェンコが、日本初開催となったWBO総会の最終日を飾るレセプションに参加したのである。もちろん初来日。銀座などで買い物を楽しんだロマチェンコは、「日本はとてもいい国だ。人々はあったかく、食事もおいしいし、文化も素晴らしい」と絶賛した上で、日本のボクサーについてのイメージをこう語った。 「楽しい展開を作る。常にベストを尽くし倒しにいくというアグレッシブさがあるね」 その中でも印象に残っているボクサーは誰か? その質問には、パウンド・フォー・パウンドで肉薄されている井上尚弥の名前ではなく「ムラタ」の名前を出した。 「村田だ。彼は、ロンドン五輪で金メダルを取った。私と同じ経歴だからプロに入ってからも注目している。ラスベガスの試合は会場で見た。村田はストロングマン。彼はパンチャーだ。私は個人的にはパンチのある選手が好きなのだ」 ロンドン五輪では、ロマチェンコがライト級で、村田がミドル級で金メダルを獲得した。2013年のプロデビューも同じ。世界のベルトはロマチェンコが先に巻いたが、同じ道を歩んできたボクサーとして注目してきたのだろう。 村田が、判定で敗れWBAの王座から陥落した2018年10月にラスベガスで行われたロブ・ブラント(米国)との2度目の防衛戦はリングサイドで観戦していた。 村田のスタイルはロマチェンコの趣味にも合う。