なぜ最強ロマチェンコは「日本で印象深いボクサー」を井上尚弥ではなく村田諒太としたのか?
ボクシング界全体で最近、印象に残った試合は何か、と問われ、2018年12月に行われたWBC世界ヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダー(米国)対元3団体統一王者、タイソン・フューリー(英国)の試合を挙げたのだ。ワイルダーの右ストレートは、間違いなく現役ボクサー最高の破壊力を秘める。しかし、フィーリーは2度もダウンを奪われながらも、決してあきらめずポイントではリードを保った。惜しくもドロー判定となったが、ロマチェンコは「フューリーこそ真の戦士だ」と称えた。 この両者は、来年2月に再戦するが「そのリベンジの気持ちも含めて素晴らしい」と言う。 一発の魅力、そしてブラントに世紀のリベンジを果たしてタイトルを奪還した村田に、そのフューリーの姿を重ねたのかもしれない。 「次のことばかりに頭がいって失敗した。もちろん、この階級には上がいて、カネロ、ゴロフキンと試合をしたいし、彼らに勝てるとも思っているけれど、今は、そのことは考えない。目の前のバトラー戦だけに集中したい」というのが、23日にWBOのトップコンテンダーだったスティーブン・バトラー(カナダ)との防衛戦を控えている村田の心境。 だが、最終目標は、WBO世界ライトヘビー級のベルトまで獲得したサウル“カネロ”アルバレスであり、そのアルバレスと2度激闘を演じてきたゲンナジー・ゴロフキンの“ミドル2強“とのビッグマッチを実現、勝つことである。 村田がこの2人に勝つ可能性はあると思うか? そう質問すると、ロマチェンコは「ボクシングだから誰にでもチャンスはあるんだ」と即答した。それこそがボクシングの原理原則であり、人々を引きつける魅力でもある。 否定をしなかった世界最強ボクサーからのメッセージは、同じくトップランク社にプロモートを任せているロマチェンコ流の村田へのエールだったのかもしれない。