じつは、2000年も前にエンジンが存在していた…!さらに、原理は「現代のジェット推進そのものだった」という驚愕の事実
世界で「最も速く回転する」物体
『古代のエンジニアリングーーギリシャ・ローマ時代の技術と文化』(地人書館、1995)の著者であるイギリスのレディング大学のランデルズは、工学部の協力を得て、ヘロンの蒸気機関のレプリカをつくって実験し、最高回転数で毎分1500回転を実現しており、「ヘロンの機械は、彼の時代では世界で最も速く回転する物体であっただろう」と書いている。 当時、ヘロンの蒸気機関が実用的な動力源として利用されたかどうかについては、ランデルズも否定的である。 ランデルズの評価によれば、ヘロンの蒸気機関の効率は1パーセントほどであり、人間1人分の力(10分の1馬力)を生み出すことでさえ膨大な量の燃料を消費してしまい、とても実用レベルのものではなかった。 しかし私は、2000年以上も前に、蒸気機関とジェットエンジンの原理が実験的に明らかにされている点に驚かざるを得ない。 何事においても、“発明”には“改良”に比して、桁違いに、あるいは本質的に異なる難しさがあるからだ。 * * * “神秘の発明王”ヘロンが、師匠のアイデアを精緻化した、現代も使われる「ある機械」をご紹介します。 古代日本の超技術〈新装改訂版〉 古代世界の超技術〈改訂新版〉
志村 史夫(ノースカロライナ州立大学終身教授(Tenured Professor))
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