日韓首脳、会談時間は予定の2倍超 関係改善アピールも政権基盤が不安定要因
石破茂首相は10月の就任後、早くも2度目となる韓国・尹錫悦(ユンソンニョル)大統領との会談に臨んだ。南米ペルーで16日に行った会談で首相は、日韓の連携強化に意欲を示した。ただ、衆院選で与党過半数割れとなった首相の政権基盤は弱く、尹政権も低支持率にあえぐ。来年国交正常化60年を迎える日韓関係にとって、両首脳自身が不安定要因となっている。 「首脳会談の頻度をさらに上げていきたい。首脳同士が膝詰めで対話し、日韓関係をさらに発展させたい」。首相は会談後、記者団にこう強調した。 日韓関係は、岸田文雄前首相と尹氏の間で大きく改善した。今回の会談は、首相が代わっても改善基調が続くことをアピールした。 会談時間は、当初予定されていた20分を大幅に超えて約50分に及んだ。首相は「安全保障では相当突っ込んだ話し合いができた」と胸を張った。 相次ぐ弾道ミサイル発射やロシアとの連携強化など北朝鮮の軍事動向により情勢が緊迫化する中、安保分野を中心に日韓協力の重要性は増している。ただ、日韓間にはいわゆる徴用工訴訟問題など歴史認識に関する課題や日本産食品の輸入規制など懸案が横たわる。 防衛交流が停滞する一因となっていた韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡っては、6月の日韓防衛相会談で再発防止策で合意したものの、事実関係の解明は棚上げされたままだ。 懸案を放置したままの関係改善は、保守層の離反を招き、さらなる政権基盤の弱体化につながる可能性をはらんでいる。(リマ 小沢慶太)