オルカンは世界中の株式が網羅されているわけではない! それでも良いといえる理由とは?
2024年から新NISAが始まり、何に投資すればいいのかといった話を多く聞くようになりました。筆者としては「好きなものに投資すればいい」と単純に思いますが、全世界株式型投資信託、いわゆる「オルカン」がいいといった考え方が極端に広がっていることに違和感を覚えています。
厳密にはオルカンは全世界の株式を対象にしているわけではない
全世界の株式に投資できる投資信託は、確かに特定の国に限った株式型投資信託と比べると分散投資を図ることができます。 この手の投資信託で人気なのが、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」ですが、投資の判断に必要な重要事項などが記載されている目論見書を読むと、MSCIのACWIに連動する投資成果を目指して運用を行うとあります。 MSCIは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出している株価指数で、先進国や新興国、後進国といった株式市場がカバーされています。また、ACWIはオール・カントリー・ワールド・インデックスの略で、主に先進国と一部の新興国の株式市場が反映された指数となっています。 ここで簡単にMSCIの概念図を確認しておきましょう。MSCIには、大きく分けてACWIと、Emerging & Frontier Marketsという2つの指数があります。 ACWIは、MSCI World(先進国)とMSCI Emerging(新興国)で構成されています。また、Emerging & Frontier Marketsは、MSCI Emerging(新興国)とMSCI Frontier(後進国)で構成されていることが分かります。 図表1
※筆者作成 オール・カントリー、全世界といった言葉を聞くと、オルカンは世界中の株式が組み入れられている投資信託だと思ってしまいます。しかし、前述のとおり、ACWIがMSCI WorldとMSCI Emergingで構成されていることからも分かるように、世界中の全ての国・地域の株式市場が対象となっているわけではありません。