健康管理や身だしなみなどの「生活改善」が「職場定着」につながるーー発達障害の人の「就労支援」
発達障害の人への就労支援が年々、広がりをみせています。 発達障害の人の場合、知識や技術をいかして就職することはできても、人間関係などに悩んで職場になじめず、結果として、退職してしまうことがあります。そのような問題を防ぐために、職場定着までをみすえて支援するケースが増えています。 【続き】「ふさわしい身だしなみが分からない」発達障害の人の就労支援 就労支援にはさまざまな形式がありますが、基本的な内容や流れは共通しています。『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』では、就職活動から職場への定着、生活面まで就労支援のしくみと活用の仕方をイラスト図解。就労支援を利用する当事者はもちろん、その当事者を受け入れる企業側にも好評なロングセラー書から、一部を連載形式でご紹介します。 今回は「就労支援」の第3段階、「生活改善」について解説。
仕事を支える「生活」も大切に
仕事や職場の環境を整えることができても、家庭生活が乱れていては、規則正しく働き続けることは難しくなります。生活面に問題がある場合には、その点にサポートを受けることも重要です。 就労支援では基本的に、本人が主役であり、企業や支援者はいわばサポート役です。本人は支援を受けながら、自分自身で就職や職場定着をめざします。 家族やまわりの人に説得されて就職をめざすのではなく、本人が働きたいという希望をもって、主体的にとりくむことが重要です。 本人の主体性は、生活面の課題にとりくむときには、より重要になります。生活面でも助言を得ることはできますが、私生活は、最終的には本人が自由に選択・決定するものであり、支援には限度があります。生活改善には本人が主体的にとりくんでいきましょう。 ■生活環境を整える 基本的な生活習慣が身についていないために、日常生活が乱れ、仕事に影響してしまうということがあります。長く働き続けるために、以下のような生活習慣を整えましょう。 ・健康管理 食事や睡眠、休養をとって心身の健康を管理する。不調のときには早めに医療機関にかかる ・時間やお金 プライベートの時間や生活費の管理。趣味に時間やお金を使いすぎないようにする ・身だしなみ 髪型や服装、持ち物などの身だしなみを整える。仕事で問題にならないようにする ・生活リズム 規則正しく仕事に通えるように、生活リズムを整える。とくに休日の過ごし方に注意する ■本人が主体的にとりくむ 日常生活の課題については、企業から支援を受けることは難しく、仕事のとき以上に、本人の主体性が重要となります。本人は支援者から助言を受けながら、自分自身で課題解決にとりくみましょう。