<センバツ>「完璧」 市和歌山・片上、自賛のサヨナラ打
◇第91回選抜高校野球 ○市和歌山3-2呉●(23日・甲子園) 左打席に向かう市和歌山8番・片上は頭の中をすっきりさせていた。同点の延長十一回2死二塁の好機に「絶対にここで決める」と闘志を燃やしながらも、冷静に肩の力を抜いていた。 【甲子園のグラウンドに整列する選手たち】 相手エース右腕・沼田仁の直球を狙っていたが、2球目のど真ん中のスライダーに体が反応し、中前へはじき返した。「完璧でしたね」と自賛する一打で熱戦に終止符を打ち、仲間にもみくちゃにされて破顔した。 今大会直前の練習試合2試合で無安打に終わり、この日もそれまで4打席凡退と不調。九回の第4打席後に見かねた半田監督から「バットを短く持て」とアドバイスを受けた。力みから無意識に左肩が下がっていたことに気づき、「自分の持ち味は逆方向への打球」と思い出した。勝負どころで本来の打撃を取り戻し、代打を出さなかった半田監督の期待にも応えた。 チームとして14年ぶりの初戦突破。選手の間で「(同じ和歌山県から出場の)智弁和歌山より先にやろう」と誓い合った、県勢の大会通算100勝も果たした。「自分たちの力で歴史を作れた。次も続けたい」と誓った片上。市和歌山商時代の第37回大会(1965年)に準優勝した実績もある公立校が、2009年の校名変更後初めて挙げたセンバツ勝利だった。【生野貴紀】