<ラグビー>日本代表よりイタリア代表のほうが“外国人”が多い?
6月21日に行われたラグビーのテストマッチ(国際試合)日本 vs イタリアで、日本は26-23のスコアでイタリアを倒し、テストマッチ10連勝、対イタリア戦では6度目にして初勝利を飾った。イタリア代表は、『シックス・ネーションズ』という欧州最高峰の国別対抗戦に属しており、W杯では7大会で通算9勝をマークしている強豪(日本は1勝)。そのイタリアに対し歴史的勝利となった日本だが、ラグビー特有のルールで、出生地が日本ではない“外国人選手”がいることなどから、その偉業への評価は懐疑的な声も少なくない。 しかし、日本代表よりイタリア代表のほうが、イタリア国外で生まれた選手が多く登録されている。今回、来日した23選手のうち、8選手の出生地はイタリア以外の国。キャプテンのクインティン・ゲルデンハイス(ロック)は、ラグビー大国の1つである南アフリカ出身。大学も南アフリカの大学を卒業している。ゴンサロ・ガルシア(センター)は、アルゼンチン出身でU-19アルゼンチン代表に選ばれている。マノア・ヴォサワイ(ナンバー8)は、フィジー出身と、イタリア以外で生まれた選手は少なくない。 一方の日本代表は6選手。キャプテンのリーチ・マイケルはニュージーランド出身、ホラニ龍コリニアシはトンガ出身だが、その2選手は高校から日本でプレーしており、日本国籍を取得していて日本歴は10年以上。「外国人が多い日本代表なんて…」という声はよく聞こえてくる話だが、これは日本代表に限った話ではなく、ラグビーにおける文化となっている。 ラグビーは、協会単位で代表チームが作られるため、英国圏ではイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの4つの代表チームが存在する(これはサッカーもほぼ同様)。アイルランドに至っては、イギリス領北アイルランドとアイルランドが国境を越えて1つのチームとして、国際大会に出場するため、代表選手の条件として国籍は意味をなさない。 南太平洋の島々(サモア、トンガ、フィジーなど)の選手も、世界最高峰の代表チーム、オールブラックス(ニュージーランド代表)を目指して、移民している例も少なくない。太平洋の島々に生まれながらも、経済的に豊かなオーストラリアやニュージーランドへ家族で移民し、その国の代表選手を目指すケースもあるという。 国籍を持たない選手がその国の代表になるための条件は何か。 ・出生地 ・両親、祖父母のうち一人の出身地 ・3年以上、継続して居住している このいずれかの条件をクリアして、また他国の代表選手(学生代表などは対象外)になっていない場合、代表チームを目指すことができます。ラグビーの場合、国籍よりも、所属しているチーム、そして、そのチームがある国(協会)を優先するため、このようなルールとなっている。 これを踏まえると、今回のイタリア戦での勝利は、日本代表として勝ち取った勝利であり、賞賛されるべき偉業と考えていいだろう。